…あ?
少し訛りのあるルティス語で話しかけられ、俺は振り向いた。
そこにいたのは。
「あぁ…。誰かと思ったら、アシミムの腰巾着じゃないですか」
通称、アシミムの腰巾着。
ルシード・キルシュテンである。
「…」
ルシードの顔を見るなり、ルルシーは警戒心を剥き出しにした。
ルルシーにしてみれば、ルシードはアシミムの手先。
かつて俺達をあの恐ろしい洗脳船『ホワイト・ドリーム号』に導き、俺の洗脳に荷担した人間だ。
警戒するのも無理はない。
「何か用ですか」
「出迎えだ。主のところに、無事送り届けるよう仰せつかっている」
ほう。
「そりゃあまたご親切にどうも。そうやって、また俺達を洗脳船にでも閉じ込めるつもりですか?」
「貴殿らはルティス帝国からの、大切な客人だ。くれぐれも丁重に扱うようにと仰せつかっている」
それはそれは。
騙されてはいけない。シェルドニア王国の、アシミムの「丁重」は、俺達の知っている辞書とは別の意味なのだろうからな。
「つまり、アシミムのところまで送ってくださると?」
「そうだ」
「そりゃどうもご親切に、ありがとうございますね」
俺は、嫌味たっぷりにそう言ってやった。
毎度毎度、連れていってもらっちゃって申し訳ありませんね。
「警戒するのも無理はないだろうが…。我々は、貴殿らをあくまで国賓として迎えるつもりだ。以前のように…危害を加えるつもりは毛頭ない」
そうだろうとは思ってるけど。
口先だけならどうとでも言えるからな。
「なら良いんですけどね。如何せんあなた方には『前科』があるものですから、こちらも警戒せざるを得ない訳で」
「…理解している」
「そうですか」
とにかく、迎えに来てくれたのなら好都合。
「良いですよ。ついていってあげましょう」
「…信用して良いのか?ルレイア」
ルルシーが、声を低くして尋ねた。
気持ちは分かる。
だが。
「問題ありません。俺にはもう洗脳は通用しないし、第一…俺達三人が集まれば、ルシードが五人いたって、相手になりませんよ」
前回の訪問のときと違って、今回の俺達は、フル装備だ。
俺は使い慣れた鎌を荷物に忍ばせてきたし、ルルシーも愛用の武器を携帯している。
ルリシヤなんて、万一のときに備えて、新発明の武器を大量に仕込んでいるとか。
フル装備の俺達が三人いれば、ルシードが五人いたとしても相手にはならない。
ルシードが十人いたら、ちょっとは苦戦するかな?ってくらい。
洗脳されて、頭の中お花畑のシェルドニア軍なんて、ハナから俺達の敵ではないし。
華弦という戦力もなくした今のアシミムに、俺達三人にまともに対抗する戦力があるとは思えない。
それに。
「どうせ俺達はこれから、アシミムのところに行かなきゃならないんです。連れていってもらえるなら、さっさと連れていってもらいましょう」
「…分かった。気を付けろよ、ルレイア」
「ルルシーもね」
そんな会話を交わして、俺達はルシードが用意させていた国賓用の高級車に乗り込んだ。
これもまた見事に真っ白な車で、吐き気がした。
だが、以前アシミムの館に連れていかれたとき乗せられていた、窓の外が見えない囚人用護送車ではなかった。
それだけが救いだった。
少し訛りのあるルティス語で話しかけられ、俺は振り向いた。
そこにいたのは。
「あぁ…。誰かと思ったら、アシミムの腰巾着じゃないですか」
通称、アシミムの腰巾着。
ルシード・キルシュテンである。
「…」
ルシードの顔を見るなり、ルルシーは警戒心を剥き出しにした。
ルルシーにしてみれば、ルシードはアシミムの手先。
かつて俺達をあの恐ろしい洗脳船『ホワイト・ドリーム号』に導き、俺の洗脳に荷担した人間だ。
警戒するのも無理はない。
「何か用ですか」
「出迎えだ。主のところに、無事送り届けるよう仰せつかっている」
ほう。
「そりゃあまたご親切にどうも。そうやって、また俺達を洗脳船にでも閉じ込めるつもりですか?」
「貴殿らはルティス帝国からの、大切な客人だ。くれぐれも丁重に扱うようにと仰せつかっている」
それはそれは。
騙されてはいけない。シェルドニア王国の、アシミムの「丁重」は、俺達の知っている辞書とは別の意味なのだろうからな。
「つまり、アシミムのところまで送ってくださると?」
「そうだ」
「そりゃどうもご親切に、ありがとうございますね」
俺は、嫌味たっぷりにそう言ってやった。
毎度毎度、連れていってもらっちゃって申し訳ありませんね。
「警戒するのも無理はないだろうが…。我々は、貴殿らをあくまで国賓として迎えるつもりだ。以前のように…危害を加えるつもりは毛頭ない」
そうだろうとは思ってるけど。
口先だけならどうとでも言えるからな。
「なら良いんですけどね。如何せんあなた方には『前科』があるものですから、こちらも警戒せざるを得ない訳で」
「…理解している」
「そうですか」
とにかく、迎えに来てくれたのなら好都合。
「良いですよ。ついていってあげましょう」
「…信用して良いのか?ルレイア」
ルルシーが、声を低くして尋ねた。
気持ちは分かる。
だが。
「問題ありません。俺にはもう洗脳は通用しないし、第一…俺達三人が集まれば、ルシードが五人いたって、相手になりませんよ」
前回の訪問のときと違って、今回の俺達は、フル装備だ。
俺は使い慣れた鎌を荷物に忍ばせてきたし、ルルシーも愛用の武器を携帯している。
ルリシヤなんて、万一のときに備えて、新発明の武器を大量に仕込んでいるとか。
フル装備の俺達が三人いれば、ルシードが五人いたとしても相手にはならない。
ルシードが十人いたら、ちょっとは苦戦するかな?ってくらい。
洗脳されて、頭の中お花畑のシェルドニア軍なんて、ハナから俺達の敵ではないし。
華弦という戦力もなくした今のアシミムに、俺達三人にまともに対抗する戦力があるとは思えない。
それに。
「どうせ俺達はこれから、アシミムのところに行かなきゃならないんです。連れていってもらえるなら、さっさと連れていってもらいましょう」
「…分かった。気を付けろよ、ルレイア」
「ルルシーもね」
そんな会話を交わして、俺達はルシードが用意させていた国賓用の高級車に乗り込んだ。
これもまた見事に真っ白な車で、吐き気がした。
だが、以前アシミムの館に連れていかれたとき乗せられていた、窓の外が見えない囚人用護送車ではなかった。
それだけが救いだった。


