The previous night of the world revolution5~R.D.~

…なーにが、神に守られている私達、だ。

守られてないから、催涙弾で階段から墜落するんだろうが。

アホか。笑わせんな。

「私達神の信徒の叫びが、帝国騎士団の横暴によって、このように掻き消されてしまったこと、教祖として、非常に悲しく思います」

おーい。おばさん。

催涙弾ぶん投げたの、帝国騎士団じゃなくて警察なんですけど。

早速認知症始まってませんか。

「きっと、神も嘆き悲しんでおられることでしょう…」

…うぜぇ。

その顔面がうぜぇ。

「催涙弾浴びて階段から落っこちたら、神が悲しむの?」

アリューシャ、君良い質問するね。

それ、ちょっと記者会見場に行って、ルチカ教祖に聞いてみてくれない?

「神の子たる無辜の信徒達が、国の権力によって抑圧されるようなことは、決してあってはなりません。このような帝国騎士団の蛮行を、許してはならないのです」

「アイ公先生!質問です!デモは蛮行に入りますか!?」

「良い質問だね、アリューシャ。入ります」

俺もそう思います。

「私達『天の光教』は、この度の事件に対して、帝国騎士団に断固抗議致します。神の民が傷つけられるようなこと、あってはなりません。また、先日あった悲劇…。『青薔薇連合会』なるマフィアに、信徒達八名を殺されたことについても」

お?

今度は怒りの矛先が、俺達に向いたぞ?

今の話、なんか俺達に関係ありましたっけ?

「マフィアという存在が、国内に存在することすら、許されてはならないはずなのです。それなのに帝国騎士団は『青薔薇連合会』の存在を容認するどころか、彼らと手を組み、神の存在を認めず、私達を攻撃しています」

…なんか文句あんのか?

「皆さん、今一度よく考えてください。ここは神に与えられし大地。私達は、神に愛された人間なのです。その人間が何故、神のご加護を忘れ、他者を傷つけるのでしょうか」

神に愛されてないからじゃないですかね。

「帝国騎士団、そして『青薔薇連合会』は、ルティス帝国の、そして神の敵です。彼らが神の愛に触れ、自らの行いを悔い改めない限り、いつか必ず、神の怒りを買うことになるでしょう…」

ほう。神が怒ってくるのか。

かかってこいや。

死神が相手をしてやる。

その後も、ルチカ教祖はしばらく、つらつらもごもごと、下らない能書きを垂れていた。

要するに、帝国騎士団と『青薔薇連合会』は悪者だ、排除しろ、もしくは神に屈しろ、と言ってるだけだ。

あーうるせぇ。

余計なお世話だっての。

帝国騎士団の連中も、この会見見てるんだろうなぁ。

多分、俺と同じこと考えてるだろう。

帝国騎士団と『青薔薇連合会』は一刻も早く改心して『天の光教』に帰依せよ、そして王政と貴族制度を廃止せよ、国民に富を返せと、言いたいだけ好き放題言って。

記者達も、その通りだとばかりにうんうん頷いていた。

あらまぁ。

綺麗に洗脳されちゃってること。

ルチカ教祖のこと、今度から『白亜の塔』って呼ぼうかな。

と思ったけど、嫌なトラウマを思い出しちゃうから、やめとこ。

こんな会見をすれば、元々『天の光教』の信徒だった者は、歓喜することだろう。

教祖様の言う通り、とばかりに。

これでまた、メディアは帝国騎士団や俺達を叩くネタが出来た。

そして『天の光教』の信徒は増え、更にそれによって、デモも増えるだろう。

デモが増えれば、今回みたいな負傷者も出てくる訳で。

…これぞ、負のループ。

だが、ここで態度を軟化させてしまっては、奴らの思う壺。

ここが踏ん張りどころ、って奴だ。