The previous night of the world revolution5~R.D.~

アシュトーリアさんは、すぐに決断してくれた。

俺はルルシーと共に、地下牢に降りた。

そこには、たった今死刑判決を下された8人の敬虔な信徒達が、怯えた目で蹲っていた。

「…おめでとうございます、皆さん」

彼らは、自分達を迎えに来た死神の姿を見た。

「今日でこの暗闇は終わりです。これからあなた達は自由ですよ」

こんなにも優しい言葉なのに。

彼らの目は、恐怖に染まっていた。

それもそうだろう。

これほどの殺気を向けられて、何故言葉通り生きて出られると思えるだろう。

まぁ、俺は「生きて出してやる」とは一言も言ってないのだが。

死ねば、いくらでも自由になるぞ。

魂だけの姿になって、好きなだけ神に祈りでも何でも捧げてくれ。

「最期に聞いてあげましょう。改宗して、再び『青薔薇連合会』とアシュトーリアさんに忠誠を尽くすと誓うなら、命だけは助けてあげなくもないですよ」

「…!」

その言葉に、彼らは食いついた。

地下牢の中で、散々考えたのだろう。

本当に『天の光教』は、自分の命を捧げるに相応しい神なのか。

一時の心の揺らぎだったのではないか、と。

「さぁ、改宗したい者は申し出てください」

「…」

裏切り者達は、震えながらお互いに顔を見合わせ。

「…改宗、します」

「俺も…」

8人が、次々と声をあげた。

誰一人、『天の光教』の教えのもとに殉じるとは言わなかった。

命が助かるなら、『天の光教』への信仰を捨てると。

おいおい。見てるか、ルチカ・ブランシェット。

お前の信徒達の信仰心など、所詮こんなものだぞ。

8人全員が、改宗するから命を助けてくれと頼んできた。

…全く嘆かわしい。

そんな半端な覚悟で、『青薔薇連合会』を抜けようとしていたとは。

「…見下げたもんですねぇ」

熱心なルルシー教徒の俺は、ルルシー神の為なら、喜んで命を差し出すがな。

こいつらは、そうではないらしい。

「こ、これで命だけは…」

「…そうですね」

俺は、両手を縛られた裏切り者達に拳銃を向けた。

銃殺は、せめてもの情けだ。

「ならば『青薔薇連合会』の構成員として、あなた達はこれから、死んで頂きます」

「…!?」

「喜んでくださいよ。組織の為に死ねるんだから」

俺は、容赦なく引き金を引いた。

一発。まず一人。

「これで分かったでしょう?この世に救いの神などいないことが」

二発。これで二人。

「生半可な信仰心ごときで、人を救うことなど出来ないことが」

三発。これで三人。

「神なんて不確かな存在が、人を救うことなど出来ないことが」

四発。これで四人。

「そんなもので救われるのなら…俺だって、闇に堕ちたりはしなかった」

五発。これで五人。

「あなたが神を信じても、神はあなたの存在などどうでも良い」

六発。これで六人。

「所詮神なんて、人間が考えた空想でしかないのだから」

七発。これで七人。

残るは一人。

「…ひ…人でなし…」

それが、彼の最期の言葉だった。

…良いことを言うね、君。

「…とっくに人じゃないですよ?俺は」

そんな君に、俺からも良いことを教えてあげよう。

この世界に神はいる。

「…死神ですけどね」




…八発目の銃声が、暗い地下牢に響き渡った。