The previous night of the world revolution5~R.D.~

「…おい、オルタンス」

「うん?」

「お前、今何考えてる?」

「ルレイアに会いたいなぁと思ってる」

素直だな、お前は。

アストラエア派か、ルーシッド派か聞こうと思ったら。

それどころじゃなかった。

国のことを考えろ、国のことを。

「ふざけてないで、真面目に答えろ」

「分かった」

「まず明らかにしなきゃならないのは、奴らの目的だ」

単に、信者を増やしてルティス帝国で幅を効かせたいだけなのか。

それとも、本気で国家を転覆させ、政府を牛耳ろうとしているのか。

あるいは、他に何か目的があるのか。

それが分からない限り、俺達は対策のしようがない。

「…これ以上、野放しにはしておけないぞ」

『天の光教』はますます調子に乗り、勢力を広げる。

やりたい放題なのに、何もしない帝国騎士団。

このままじゃ、国民達からは弱腰となじられるだろう。

「…よし、分かった」

オルタンスは、こくりと頷いた。

「何だよ。何か名案でも思い付いたか?」

「あぁ」

ほう。

やるじゃないか。さすがは帝国騎士団長と言ったところか?

「ルレイアに会おう」

「…は?」

…お前、今何て?

「ルレイアに遊びに来てもらおう」

…敢えて聞こう。

「…何故?」

「いや、最近会ってないなぁと思って」

何だその理由は。

そんな、しばらく帰ってない実家に顔を出すみたいなノリで。

「…ふざけてるのか、貴様」

こめかみに血管が浮き出ているアストラエア。

良いぞ、もっと言ってやれ。

「いや、俺は別にルレイアに会いたいから呼ぼうとしてるんじゃないぞ。確かに会いたいけど。でも、そう…『青薔薇連合会』がどう動くのか、気になるだろう?いや、決してルレイアに会いたい訳じゃなくてな」

ルレイアに会いたいだけだろお前。

いっそ正直に言え。

「『青薔薇連合会』は動きゃしねぇよ。あいつらは関係ないだろ」

ルティス帝国のトップがアルティシア様だろうと、『天の光教』になろうと、あいつらは興味がないだろう。

闇の世界に住むあいつらには。

「だが…そうも言ってられないだろう」

と、ルシェ。

「『天の光教』が非合法組織を認めるならば、『青薔薇連合会』も他人事でいられるが。もし『天の光教』が『青薔薇連合会』をも敵に回すつもりなら、彼らも無関係ではいられない」

「…確かにな」

宗教団体ってのは、非合法組織に対してどう扱うんだろうな。

もし『天の光教』が本気で国家転覆を狙っているなら。

『青薔薇連合会』は、帝国騎士団に取って代わった『天の光教』と共存しなくてはならなくなる。

それはあいつらにとって都合の良いことか、悪いことか。

『青薔薇連合会』としても、ぽっと出の新興宗教が政府を牛耳るなんてことがあったら、気分が悪いだろうし。

彼らの出方を聞いてみるのも、悪くはない。

「聞いてみるのは勝手だが、応じてくれるかは分からないんだぞ」

「きっと来てくれるさ。ルレイアなら」

何処から来てんだ、その自信。

『青薔薇連合会』に相談したところで、事態が好転するとは思えないが…。










…と、思っていたら。