The previous night of the world revolution5~R.D.~

「…ぶっちゃけ皆さん、これ聞いて、どう思いました?」

まずは、この講演の感想をお聞かせ願いたい。

「そうだね…。ルティス帝国の辞書を持ってきて、あらゆる綺麗な言葉を寄せ集めてスピーチされた気分だね」

アイズの感想は、なかなかに辛辣なものだった。

良い感想だ。

「そりゃ、彼女の言う通りになれば、それが理想なんだろうけど…。口で言うほど簡単に出来たら、苦労しないよ」

その通り。

綺麗な言葉だけ飾り立てて、本当にそれで上手く行くなら…帝国騎士団の連中だって、もっと気楽にいられただろうに。

「…シュノさんは、どうです?」

「うん…。政治のことよく知らない人が、理想論ばっかり語ってる気がした」

これまた良い感想だ。

「だって、神の愛が…とか、富を分配して…とか、抽象的過ぎるもの。その為に具体的にどうするのかについては、何も言ってないわ」

そうなんだよ。

御大層なことを言うのは結構だけど、お前はその為に何をするの?

大体あんた、宗教家だろ?何故政治に口を挟む。

それは政治家の領分だろうが。

綺麗な言葉で人を惑わせて、国家転覆を謀って自分が権力を握りたい。

そうとしか思えない。

「…俺も先輩方と大体同じ意見だが…。しかし、この説教で、何故あんなにもルティス帝国民が『天の光教』に夢中になるのかが、分かった気がするよ」

と、ルリシヤ。

君、相変わらず良いところに気づくね。

「この人は、大衆を煽るのが上手い。こんな言い方をされちゃ、貧しい大衆が『天の光教』を崇拝するのも無理はない」

溺れている者は、藁にでもすがる。

差し伸べられたのが、例え怪しげなインチキ詐欺師の手であろうと…掴まずにはいられない。

そんな人の心の弱い部分を、上手く捕らえている。

狡猾な女だ。