The previous night of the world revolution5~R.D.~

やがて、再生が終わった。

「…」

「…」

「…zzz…」

アリューシャの寝息を聞きながら、しばし無言の一同。

しかし、改めてこう、聞いてみると。

俺、ド正論しか言ってなくて草生える。

最初に口を開いたのは、アシュトーリアさんであった。

「…成程。ルレイアが喧嘩を売った理由が分かったわ」

更に、アイズが。

「これは向こうが悪いね…。ルレイアがキレるのも無理はない」

「『天の光教』の教祖相手に、あんなに堂々と…!さすがルレイアね」

「噂には聞いていたが、なかなかクレイジーな宗教のようだな」

シュノさんとルリシヤの感想である。

で、アリューシャは。

「アリューシャ。終わったよ。起きなきゃ」

「ふみ~…」

アイズに揺り起こされるも、寝惚け眼のアリューシャ。

「…そいつ、もう廊下に放り出しておけ」

あらやだルルシー。過激派。

「会議終わったら、おやつあげるから。起きようね」

「はっ!ここは何処?アリューシャは誰?」

「アリューシャはアリューシャだよ」

「そうだったぜ!」

起きたようだな。

さすがアイズ。アリューシャの起こし方を心得ている。

「って、あれ?なんか聞いてなかった?もう終わったの?」

「…お前な…」

「やべぇ。アリューシャぜんっぜん覚えてねぇ…!」

覚えてないって言うか、そもそも聞いてないもんね。

しかし保護者アイズ、そこは抜かりない。

「大丈夫。アリューシャには、後で私が絵本を描いて説明しておくから」

「…お前がそうやって甘やかすから…」

「まぁまぁ、ルルシー。良いじゃないですか」

俺でさえ、うんざりするような内容だったんだからさ。

そりゃ寝たくもなるよ。

俺は二回目だから、余計に。

「話を戻すとして…。彼女の本を読んだときから思ってたけど、もし本当に『天の光教』と真っ向から敵対するとしたら、厄介だね」

「…ですね」

今回の敵は、重火器持って攻め込んできてくれる訳じゃない。

殴って蹴って斬って刈って、それで終わる相手じゃない。

俺達が相手にしなければならないのは、思想だ。

人の思想。

どうやって、人の思想を殺せば良い。

だからこそ、『天の光教』とは敵対したくなかったのだが…。

「…この様子なら、いずれにしても時を待たずして、彼らとは敵対することになってたわね」

と、アシュトーリアさん。

…そうなんだよなぁ。

『天の光教』は、明らかに国家転覆を望んでいる。

王候貴族を打倒して、ルティス帝国民『天の光教』を刷り込もうとしている。

当面のところは、打倒帝国騎士団ってところか。

帝国騎士団を打倒するのは彼らの勝手だし、俺達が関与するところではない。

だが、もし本当に『天の光教』がルティス帝国の天下を取るようなことがあれば。

『青薔薇連合会』の存在を、無視していてはくれないだろう。

いずれ、必ず敵対することになる。

これは革命に等しい。

まさか、ルティス帝国でも革命が起きるとはなぁ。

いい加減にしてくれよ。

俺はただ、俺の幸福を追求したいだけなのに。

何で、こう邪魔ばっかり入るんだろうなぁ。