The previous night of the world revolution5~R.D.~

それと、ついでに言っておくなら。

「…帝国騎士団のこと、ディスって悪者にしてましたけど、あいつら、割と結構ちゃんとやってると思いますよ」

別に、帝国騎士団を擁護するつもりはないし。

あいつらの名誉なんて、路傍の石ほどの関心も抱いちゃいないが。

まぁ、せめてものお情けだ。

「世の中が不景気なのは、女王や帝国騎士団のせいじゃない。人の手で景気を完璧に左右出来るのなら、誰も苦労なんてしてません」

それを理解していながら、帝国騎士団をディスっているのか。

それとも、本気で帝国騎士団が悪いと思ってるのか。

もし後者だとしたら、こいつはただの世間知らずだ。

「俺の目にはあなたは、ただ都合の良い綺麗な言葉を並べて、学のない大衆を騙して国民を洗脳し、自分が権力の頂点に立とうとする、インチキ詐欺師にしか見えません」

「…」

ルチカ教祖の側近は、あまりの無礼な言葉にわなわなと震えていたが。

ルチカ教祖は、否定も肯定もせず、俺をじっと見つめていた。

「神の愛が人の愛がとか言うなら、何でデモなんかやらせるんですか。一歩間違ったら怪我人、死人が出るって分からないんですか」

どうせ、あんたが指示してやらせてるんだろうが。

あんたにそのつもりがなくても、信徒達が行き過ぎた信仰心で道を踏み外し、関係ない一般市民を殺傷するようなことがあれば。

さすがの帝国騎士団も、あんたらを放ってはおかないぞ。

「あれは私達の叫びです。物言えぬ不幸な弱者達の、せめてもの抵抗なのです」

「くどい。誰もが幸福になれる世界、そんなものは綺麗事でしかない。絶対に有り得ない」

「いいえ、綺麗事ではありません。そう思うのは、あなたが神の愛に触れていないから。心を闇に染めているからです」

…よく分かっているじゃないか。

…生憎、俺を地獄から救ってくれたのは、天の光ではなく、闇の引力だったからな。

「…天に光など差さない。あるのは闇。底知れぬ、深い泥沼のような闇だけ」

「光は闇をも照らします。私が、それを証明してみせましょう」

「そうですか。じゃあ、やってみてください」

俺の闇と、あんたの光のどちらが強いか。

闇は光をも覆い尽くすのだということを、あんたに証明してやろう。

かつて、俺がそうだったように。