俺の声は、壇上のルチカ・ブランシェットに届いた。
これでも、昔は帝国騎士団四番隊隊長だったものでね。
声は、よく通る方で。
誰もが、ルチカ教祖の素晴らしいお言葉に感激しているのに。俺だけが。
正しく言えば、俺とルルシーだけが、洗脳されていなかった。
「…何か仰られましたか?」
ルチカ教祖は、優しげに尋ねた。
「あなたのそれは、綺麗事だと言ったんですよ」
「ばっ…ルレイア」
こんなところで教祖と対決するつもりかと、ルルシーが声をあげたが。
最早こうなっては、止められはしない。
後でルルシーに怒られるだろうなぁと思いながら、俺は続けた。
「人は皆平等なのに、何故幸福に生きる者もいれば、不幸な者もいるのかと、あなたは聞きましたね。答えを教えてあげましょうか?」
そんなものは、考えるまでもない。
簡単なことだ。
「人が平等でも、世界は不平等だからですよ」
人の都合など、世界は知らない。
自分の住んでる家が、住人を気にかけると思うか?
自分の乗ってる車が、運転手を気にかけると思うか?
人間が幸せだろうと不幸せだろうと、世界はそんなことどうでも良いんだよ。
物言わぬものに、優しさを期待するな馬鹿めが。
「神の愛が、人の愛が傷を癒してくれる?夢でも見てるんですかあなたは。糞ほどの役にも立ちませんよ、そんなもの。神が何をしてくれるんですか。人を傷つけるのが人なら、人を救うのもまた人で、そこに神が介在する余地はない」
それでももし、神に救われたと言うのなら。
それはただ、「神に救われた」という言葉を言い訳に、思考停止しているに過ぎない。
少なくとも俺が地獄にいたとき、神は俺に何もしてくれなかった。
目の前にいる人間が自分を救ってくれないから、目に見えないものにすがろうとしているだけだ。
「人間の命はそりゃ平等ですよ。でも個人は平等じゃない。どんな家に生まれるか、どんな能力を持って生まれるか、それこそ神が決めるものなのでは?人が生まれ持った個性が違うなら、既に不平等じゃありませんか。それをどうやって平等にするんです?」
「能力を持っている者がいれば、能力に欠ける者に手助けするだけです。私達は愛し合うべき存在なのだから」
言い返してきやがった。生意気にも。
「ようは、10を持って生まれてこようが、1を持って生まれてこようが、全員強制的に5にするって訳ですね。で、それの何処が平等なんです?」
「…」
ルチカ・ブランシェットは怯むことなく、嘆かわしそうに頭を振った。
「あぁ…。あなたは帝国騎士団の悪しき考えに囚われているのですね。旧世代の考え方に染まっている…」
何で貴様に同情されなきゃならんのだ。
「自分の幸せだけを考えるから、そのような思考になるのです。自分の幸せを求めるなら、同じく隣人の幸せも求めなくてはなりません」
「はぁぁぁぁ?俺は自分が幸せになるのは大好きですよ。当たり前じゃないですか!隣人が不幸だろうと世界の誰かが不幸だろうと、そんなもん、く……っそどうでも良いです」
あ、でもルルシーは例外な。
ルルシーと幹部達と、一部の人は例外。
誰だってそうだろ?
「自分と自分の周囲が幸せなら、それで良いですよ。当然でしょ?その不幸が自分のものでないなら、他人に押し付ける。自分の知らないところで勝手に不幸になってりゃ良い。何で俺が他人様の幸せを考えなきゃならないんですか?」
自分の幸福のことくらい、自分で考えろや。
甘えるな。
涎垂らして待ってるだけで、与えてもらえると思うな。
世界ってのは、そんなに生易しいものじゃないんだよ。
これでも、昔は帝国騎士団四番隊隊長だったものでね。
声は、よく通る方で。
誰もが、ルチカ教祖の素晴らしいお言葉に感激しているのに。俺だけが。
正しく言えば、俺とルルシーだけが、洗脳されていなかった。
「…何か仰られましたか?」
ルチカ教祖は、優しげに尋ねた。
「あなたのそれは、綺麗事だと言ったんですよ」
「ばっ…ルレイア」
こんなところで教祖と対決するつもりかと、ルルシーが声をあげたが。
最早こうなっては、止められはしない。
後でルルシーに怒られるだろうなぁと思いながら、俺は続けた。
「人は皆平等なのに、何故幸福に生きる者もいれば、不幸な者もいるのかと、あなたは聞きましたね。答えを教えてあげましょうか?」
そんなものは、考えるまでもない。
簡単なことだ。
「人が平等でも、世界は不平等だからですよ」
人の都合など、世界は知らない。
自分の住んでる家が、住人を気にかけると思うか?
自分の乗ってる車が、運転手を気にかけると思うか?
人間が幸せだろうと不幸せだろうと、世界はそんなことどうでも良いんだよ。
物言わぬものに、優しさを期待するな馬鹿めが。
「神の愛が、人の愛が傷を癒してくれる?夢でも見てるんですかあなたは。糞ほどの役にも立ちませんよ、そんなもの。神が何をしてくれるんですか。人を傷つけるのが人なら、人を救うのもまた人で、そこに神が介在する余地はない」
それでももし、神に救われたと言うのなら。
それはただ、「神に救われた」という言葉を言い訳に、思考停止しているに過ぎない。
少なくとも俺が地獄にいたとき、神は俺に何もしてくれなかった。
目の前にいる人間が自分を救ってくれないから、目に見えないものにすがろうとしているだけだ。
「人間の命はそりゃ平等ですよ。でも個人は平等じゃない。どんな家に生まれるか、どんな能力を持って生まれるか、それこそ神が決めるものなのでは?人が生まれ持った個性が違うなら、既に不平等じゃありませんか。それをどうやって平等にするんです?」
「能力を持っている者がいれば、能力に欠ける者に手助けするだけです。私達は愛し合うべき存在なのだから」
言い返してきやがった。生意気にも。
「ようは、10を持って生まれてこようが、1を持って生まれてこようが、全員強制的に5にするって訳ですね。で、それの何処が平等なんです?」
「…」
ルチカ・ブランシェットは怯むことなく、嘆かわしそうに頭を振った。
「あぁ…。あなたは帝国騎士団の悪しき考えに囚われているのですね。旧世代の考え方に染まっている…」
何で貴様に同情されなきゃならんのだ。
「自分の幸せだけを考えるから、そのような思考になるのです。自分の幸せを求めるなら、同じく隣人の幸せも求めなくてはなりません」
「はぁぁぁぁ?俺は自分が幸せになるのは大好きですよ。当たり前じゃないですか!隣人が不幸だろうと世界の誰かが不幸だろうと、そんなもん、く……っそどうでも良いです」
あ、でもルルシーは例外な。
ルルシーと幹部達と、一部の人は例外。
誰だってそうだろ?
「自分と自分の周囲が幸せなら、それで良いですよ。当然でしょ?その不幸が自分のものでないなら、他人に押し付ける。自分の知らないところで勝手に不幸になってりゃ良い。何で俺が他人様の幸せを考えなきゃならないんですか?」
自分の幸福のことくらい、自分で考えろや。
甘えるな。
涎垂らして待ってるだけで、与えてもらえると思うな。
世界ってのは、そんなに生易しいものじゃないんだよ。


