The previous night of the world revolution5~R.D.~

「なー、そもそもさぁ」

アリューシャが、机に両肘をついて言った。

「『天の光教』って、何なの?アリューシャ神も仏も信じてねぇけど、そんな変な宗教があるの?いつからあったの?」

またまた良い質問だ。

俺も神も仏も信じちゃいないが、『天の光教』については…。

「…実は、俺もよく知りません」

「知らないんかいっ!」

アリューシャ、ナイスツッコミ。

なかなかキレがあるね。

「ルティス帝国民は元々、宗教には無頓着ですからねぇ。一応ルティス帝国の国教はアメリア教ってことにはなってますけど…」

俺はアメリア教の神様になど、祈ったことはない。

何度も言うが、俺は死神以外の神は信じない。

闇堕ちする前は、これほど神に対して嫌悪感もなかったんだけどな。

「皆さん、祈ったことあります?アメリア教の神に」

「…ないな」

「全くねぇ!」

「私もないね」

「一度もないわ」

「そうねぇ。私も祈ったことはないわね」

不信仰者まみれの『青薔薇連合会』である。

まぁ、人間の裏も表も知り尽くした非合法組織の俺達が、神を信じるなんておかしな話だもんな。

糞食らえそんなもん。

国教はアメリア教でも、本当に熱心に祈りを捧げたり、厳密に掟みたいなのを守ってる国民が、どれだけいるか。

ルティス帝国民がアメリア教に触れるのは、精々冠婚葬祭のときくらいだ。

それ以外の普段の生活で、国民が宗教に触れることはなかった。

多くの民にとって、宗教とは自分達の生活から遠く離れた、胡散臭いものであった。

ましてや、聞き慣れたアメリア教ですらない、『天の光教』なんていかにも胡散臭い新興宗教。

怪しい臭いしかしないじゃないか。

そんな怪しい宗教が、貧しい人々の心を捉えてしまった。

「…とにかく、ここで文句垂れててもしょうがないですね」

「…そうね」

帝国騎士団同様、『青薔薇連合会』もまた、公然と宗教団体と事を構えたくはない。

そもそも、俺達にはさしたる実害もないしなぁ。

帝国騎士団が勝手に頑張ってくれ。

「な~んか…。面倒臭ぇことになったなぁ…」

アリューシャの、この一言に尽きる。

本当、面倒臭ぇことになったよなぁ。

「折角婚約指輪渡して、婚約成立したのに…。これじゃあルルシーとリッチにラブラブ結婚式を挙げることも出来ませんよ…」

「あら、残念ねぇルレイア…。私も結婚式にお呼ばれしたかったわ」

「全くだ。俺も仲人として、色々準備してたのに…」

「…アシュトーリアさん。こんな事態にならなかったとしても、結婚はしません。あとこれ婚約指輪じゃありません。あとルリシヤ。お前は何の準備もせんで良い」

あらやだルルシー。

相変わらず、シャイなんだから。