The previous night of the world revolution5~R.D.~

美術館や遊園地も同じことだ。

このご時世、近所の小さな美術館ならともかく、帝都にある、一日かけて回っても回りきれないような広くてでかい美術館は、入館料もかなりのものだ。

遊園地だって、ハムスターランドみたいな大きなところになれば、それなりの費用がかかるし。

そんなところに行って、高尚な絵画を一日中眺めたり、遊園地で楽しくアトラクションに乗って時間を浪費する。

現在のルティス帝国の経済状態で、それが出来るのは、少なくとも中流階級より上の人間だけ。

それより下で暮らしている人々は、羨ましげに彼らを眺めていることしか出来ない。

少し前までは、自分達も少し頑張れば、あんな風にちょっとした贅沢を楽しむくらいは出来たのに…。

今はそれすら出来ず、家で暇をもて余しながら、不貞寝するくらいしかやることがない。

いや…家で不貞寝出来る人は、まだマシなのかもしれない。

景気が良かった頃でも、元々貧民街で最底辺の暮らしていた人はいる。

先程アリューシャが言った、ゴキブリ生活をしているような人々。

そんな人々は、今頃どうしているだろう。

もしかしたら、その日を生きていくことすら至難を極めているのかもしれない。

彼らが食べるものにさえ困っている中、一部の上流階級は、美術館だの遊園地だの娯楽施設に行って、楽しく遊んでいる。

お偉い貴族共は、お高い洋服店でオーダーメイドの服を仕立て、それを着て、高級紅茶専門店で優雅に紅茶の香りを楽しんでいる。

そりゃあ納得行かないだろう。

ムカつくだろう。腹も立つだろう。

デモ隊がデモ行為を行っている場所は、彼ら貧民達の怒りの象徴なのだ。

金持ちじゃないと行けない場所。

そこを狙って、デモを行っている。

「つまり、俺達が苦労してるってのに、てめぇら贅沢してんじゃねー!ってこと?」

「そういうことだね」

アリューシャ、君良いこと言うね。

物凄く分かりやすいよ。

「まー、元ゴキブリのアリューシャには、その気持ち分かるな。アリューシャ達が泥水啜って何とか生きてるのに、優雅にお紅茶飲んでる奴がいたら、そりゃぶん殴りたくもなるわ」

済みません。

俺、アリューシャが泥水啜ってるとき、優雅にお紅茶飲んでる人間でした。

元貴族の俺とルリシヤには、分からない気持ちがあるのだろうな…。

アイズもアリューシャもルルシーもシュノさんも、そのような最底辺の暮らしをしていた時期がある。

実際体験したことがある人間にこそ、分かる気持ちだ。