The previous night of the world revolution5~R.D.~

「現時点で確認されているのは、帝立美術館、国営の遊園地と水族館、それから貴族向けの衣料品店と、貴族御用達の紅茶専門店…。その他、帝立の娯楽施設や、貴族、上流階級向けの店が狙われているようです」

アイズレンシアが、報告書片手にそう言った。

『天の光教』は連日、様々な場所でデモ行為を行っている。

『frontier』のライブ会場だけではなかったのだ。

「…?」

納得行かない顔で、首を傾げるアリューシャ。

「アリューシャ。どうしたの?」

「なぁ…。そのデモ隊って、何でそんな変なとこばっか狙ってんの?」

「変なとこ?」

「『frontier』んときはさ、単にアンチ『frontier』の奴らが拗らせただけかと思ったけど。何で美術館とか遊園地とか…。挙げ句に紅茶の店なの?紅茶関係なくね?」

まぁ、確かに紅茶は関係ないね。

紅茶に罪はない。

『天の光教』がデモを行っている場所は、一見関連性がないように思われる。

だが、先日のライブ会場での奴らの発言を考えれば、おのずと関連性が見えてくる。

「あのね、アリューシャ。彼らは、娯楽施設や高級店を狙ってるんだよ」

「何で?遊園地嫌いなの?」

遊園地が嫌いという訳ではなく。

彼らも一度や二度は遊園地くらい行ったことあるんじゃないか?知らんけど。

「うーん…。そうだね、まずは、アリューシャがまだ『青薔薇連合会』に入る前のことを思い出してね」

「おう!アリューシャがゴキブリだった頃な」

ゴキブリ?

「その頃、美術館や遊園地に行ったことある?」

「ある訳ねぇじゃん!絵なんか見てる余裕ねぇし!ってか入場料払えんし!遊園地なんて存在も知らなかったぜ」

「じゃあ、高級な洋服を作る店や、紅茶専門店に行ったことある?」

「無理。ああいうお高い店は、警備がめっちゃしっかりしてるから、盗みに入れねぇんだよ」

あ、盗むこと前提なのか。

そもそもアリューシャのような浮浪児は、帝都に潜り込むことさえ難しかったのではなかろうか。

ましてやそのような高級店は、帝都でも一等地にあるし。

そんなところに浮浪児が紛れ込んだら、目立って仕方ない。

何なら、姿を見られただけで、何か悪さをするに違いないと通報されかねないだろう。