うちの街の公園には年に何回か首つりをする人が現れる。
 第一発見者は毎回違うが、決まって「死体の股の間に板を掛けてブランコをしている妖精がいた」と言い出す。
 伝統行事みたいに毎度、同じことを言う。
 そんなことが実際にあるわけないので、第一発見者たちは「自分で(人間ブランコの話を)とぎれさせてはならない」と考えているのだろう。
 律儀なことだ。
 そんな風に思っていたエヌ氏は、その公園で首つり死体を発見した。そして、死人の脚の間でブランコに興じる謎の小生物を目撃したのである。