「なんなのもうほんとに!!!!!」


「今日ずっとそれだね」


「当たり前じゃん!はあ・・・もうこんなことばっかり考えて疲れたよ私・・・」


「贅沢な悩みなんじゃないの~それ」



学校帰りのファミレス。


みわとデザートを食べながらさっきの出来事を報告したら笑われた。



いや笑い事じゃないからね!?

ていうか大事な友だちが学校の人気者にからかわれてるんだよ!?

かわいそうだと思わないかな!?!?




私はこんなに追い込まれているというのに、目の前に座る親友は呑気に彼氏とのメッセージアプリのやり取りでニヤニヤしている。平和ですね・・・




「もはや魔術師だよあの人。24時間呪いにかけられてる気分」


「死ぬかもねあんた」


「だよね、私もそう思う」


「んー、でもさ。バブちって悪い人ではないと思うんだよねえ」


「それ顔でしょ?ビジュがいいからそう思うんでしょ?」


「いや違くて。この前の選択授業のときにバブち隣だったんだけどね。私授業中にお腹鳴っちゃって・・・それバブちに聞かれてたみたいで、そしたらバブちが飴くれたの」


「え、」


「優しっ!!って思って。ちょっと意外だったんだけど、さすがにキュンとしたよね」



何それ初耳なんだけど・・・
ていうかそれずるくない!?


いや、ずるいって、違う違う。

私には意地の悪いことしか言ってこないのに(といっても金曜日と今日の二日間だけだけど)、みわばっかりずるい。



「ずるい・・・何それ!」


「え、ずるいって恵都・・・それ嫉妬ですかぁ?」


「ち、違うよ!私バブちにそんな優しくされたことない!最近なんて特に!」


「嫉妬じゃんそれ」


「あ~も~違う!!!」



机におでこをぶつけながら喚く私を差し置いてヘラヘラ笑っているみわ。


クソ・・・腹立つ・・・!!



私が何をしたっていうんだ。

おかげで教室ではいつも通りの生活を送れなくて肩身の狭い思いをしてるっていうのに!




「案外バブちが言ってること、本当なのかもしれないよ」


「やだよ・・・信じたくない・・・」


「好きな子には意地悪したくなっちゃうってこと。いくら冗談でもそこまで言わない気がするんだけど」



”好きな子”というフレーズにはこの数日間で一番苦しんでいる厄介なワードでもある。


ハッキリと私のことを好きだ言ってきたわけではないけれど、
話したこともほとんどないし、接点もないのに何で私のことなんかを・・・

遡って考えても思い当たる節が何もなくて、どこでどうなったら”好きな子”になるのかもわからない。

このモヤモヤを解消すべく今日勇気を出してバブちを呼び出したっていうのに、モヤモヤは解消されないどころか、また強力な魔術をかけ残して立ち去ってしまったのだ。



本当にもう何なの・・・


今日も寝れない決定です。