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〇帰りの馬車の中
NA:
馬車の中には、乳母のエリア―ヌが待っていた。
今朝、青いドレスを着て、似合っているかと訊いたフロリアーナに、エリア―ヌは言った。
エリア―ヌ(以後乳母)「ドレスはよく似合っておいでですよ。でも、お嬢様、今日の訪問はおやめになったほうがよいのでは」
フロ「だめよ。そう決めたのだから。ロランス王子に、ちゃんと理由を話してもらいます。そうでないと……」
〇 その帰りの馬車の中。
乳母「お嬢様、言いたいことは、ちゃんと言ってこられましたか」
フロ「はい。どんなに思っても、わたしのことを思っていただけないことがわかったので、吹っ切れました。いいえ、そうじゃなくて、わたし、これから吹っ切る努力をします」
乳母「お嬢様、よくがんばりましたね」
フロ「エリアーヌ、わたし、がんばったのよ(泣き声)」
乳母「あらあら、お鼻がとなかいさんみたいに真っ赤ですよ」
フロ「でも、もういいわ。いくらお願いしても、もう愛してはくれないのだから、仕方がないもの。ジャン・バスチャン王子がわたしのことを気にいって、わたしも彼のことが気にいるように、がんばってみるわ」
乳母「そうですよ。そのとおり」
NA:
エリア―ヌも鼻をくずくずさせながら、スカートのポケットから手紙を取り出す。
乳母「これ。今朝、届いていました」
フロ「またジャン・バスチャン王子からの手紙?」
乳母「これで、5通目ですね。まだ一度も読まれていないのでしょう」
NA:
フロリアーナはまだ気持ちがロランス王子にあったので、ジャン・バスチャン王子からの手紙は読んではいないし、返事も書いていないのだった。
(ジャン・バスチャンの声)
「フロリアーナさま、
金曜日にお目にかかるのをとても楽しみにしています。でも、緊張もしています。私のことを少しでも気にいっていただけるように、務めるつもりです。よろしくお願いします」
フロ「(ぽつりと)短い手紙」
NA:
フロリアーナは目をこすりながら、この王子は自分と同じことを考えている方だと思うのだった。
フロ「明日、わたし、真心でお迎えしようと思います」
〇帰りの馬車の中
NA:
馬車の中には、乳母のエリア―ヌが待っていた。
今朝、青いドレスを着て、似合っているかと訊いたフロリアーナに、エリア―ヌは言った。
エリア―ヌ(以後乳母)「ドレスはよく似合っておいでですよ。でも、お嬢様、今日の訪問はおやめになったほうがよいのでは」
フロ「だめよ。そう決めたのだから。ロランス王子に、ちゃんと理由を話してもらいます。そうでないと……」
〇 その帰りの馬車の中。
乳母「お嬢様、言いたいことは、ちゃんと言ってこられましたか」
フロ「はい。どんなに思っても、わたしのことを思っていただけないことがわかったので、吹っ切れました。いいえ、そうじゃなくて、わたし、これから吹っ切る努力をします」
乳母「お嬢様、よくがんばりましたね」
フロ「エリアーヌ、わたし、がんばったのよ(泣き声)」
乳母「あらあら、お鼻がとなかいさんみたいに真っ赤ですよ」
フロ「でも、もういいわ。いくらお願いしても、もう愛してはくれないのだから、仕方がないもの。ジャン・バスチャン王子がわたしのことを気にいって、わたしも彼のことが気にいるように、がんばってみるわ」
乳母「そうですよ。そのとおり」
NA:
エリア―ヌも鼻をくずくずさせながら、スカートのポケットから手紙を取り出す。
乳母「これ。今朝、届いていました」
フロ「またジャン・バスチャン王子からの手紙?」
乳母「これで、5通目ですね。まだ一度も読まれていないのでしょう」
NA:
フロリアーナはまだ気持ちがロランス王子にあったので、ジャン・バスチャン王子からの手紙は読んではいないし、返事も書いていないのだった。
(ジャン・バスチャンの声)
「フロリアーナさま、
金曜日にお目にかかるのをとても楽しみにしています。でも、緊張もしています。私のことを少しでも気にいっていただけるように、務めるつもりです。よろしくお願いします」
フロ「(ぽつりと)短い手紙」
NA:
フロリアーナは目をこすりながら、この王子は自分と同じことを考えている方だと思うのだった。
フロ「明日、わたし、真心でお迎えしようと思います」
