温かい…。
やっとこれが夢じゃなくて現実だと実感できた。
歩ちゃんだー…。
わたしも歩ちゃんの背中に手を回してコートをギュッと掴む。
そして深呼吸…。
煙草の匂いと歩ちゃんの匂い。
胸に顔を埋めてぐりぐりする。
「こら、くすぐったいからやめろ」
「…やだ」
「雨さーん」
「歩ちゃんを充電してるのっ、邪魔しないでー」
顔を上げてべーっと舌を出す。
すぐにまた歩ちゃんの胸へ顔を埋めてぐりぐり。
深呼吸も忘れずに。
この人はわたしがどれくらい会いたかったか知らないんだ。
たまたま通ったからだって!
たまたま通らないと会いに来てくれないんだって!


