すべての愛を君だけに。


俺の言葉に少し声を張り上げながら






「わかってる…!歩ちゃんは、沙織先生が好きで沙織先生も歩ちゃんが好きで…っ…わたし、は…」






そう、俺は沙織が好きだ。


優しくて、綺麗で、人として尊敬できて、隣にいてとても誇らしく思う。


「でも、もういいの」と消えそうな声。


拭いてもなお、涙は頬を伝って途切れることない。


それなのに…無理に笑う彼女に胸が締め付けられた。







「歩ちゃんに…わたしが歩ちゃんのこと好きだって、知って欲しかったの…」


「…っ…」


「変なこと言って、ごめんなさい」






椅子から立ち上がって頭を下げ、背を向けて扉の方へと駆け出す。