...考えてい、る。 「歩ちゃん…好き」 そう言うのは…沙織じゃない。 涙をいっぱい目に浮かべて絞り出すように言葉を口にした女の子は、俺の姪。 年の離れた兄の娘。 両親が離婚してそれぞれに引き取られた俺たちは苗字が違う。 だからだれも俺とこの子が叔父と姪であることを知らない。 いつか、沙織を兄貴に会わせようと思っていたこと、姪がこの学校に入学したこともあって沙織には伝えていた。 「じゃあ、雨ちゃんはわたしの姪にもなるってことだよね!仲良くしなくちゃ」 なんて話していたことを思い出す。