「比嘉」 聞きなれた大好きな人の声。 教室の扉から見えるスーツ姿に、朝思ったことと同じことを思う。 きっとこれから見る度に毎回思って、その度に思いが深くなっていくんだろう。 「職員室、来るように行っただろ」 「今、行きます」 「すみません、俺が引き止めてたんです」 慶くんが歩ちゃんに言うと「そうか、天ヶ瀬も部活あるだろ、急げ」と返す。 手を握ったまま立ち上がってわたしを見下ろす慶くんはもう一度強く…だけど優しく手に力を込めた。