お金持ち学園の王子様たちとヒミツの時間




良い人に出会えて良かったな。





そんなことを思いながらハンカチを使わせてもらう。




涙もとまったし、そろそろ帰らないと……。



はぁ……帰りたくないなぁ。




なんていう叶わないことを思いながら家までの道を歩く。




お母さんは私のことを嫌っていて、いつも会うたびに心無い言葉を言われてきた。




なんでも、お母さんは好きだった人がいたのにも関わらず親同士が勝手に決めた相手と結婚させられてしまったみたいでお父さんのこともその娘の私のことも嫌っている。




家賃や生活費はお父さんが払っておいてくれているものの、お父さんは仕事が忙しいらしく家に帰ってくることは無いため、私が物心ついてから一度も顔を見たことがない。




そんな家で私はお母さんと2人で暮らしているんだけど、お母さんは私の顔を見たくないと自室からほとんど出ないでいるため、家事は全て私ひとりで行っている。





住宅街から少し離れた場所にある、他よりも豪華なお屋敷の前で立ち止まる。




家に着いてしまった……。