世界はそれを愛と呼ぶ



「春、夏、秋、冬の家について調べてきてくれ。手段は問わん。時間も、費用も、全て、陽向の指示を仰げ」

「白の場合は」

「夏と秋がきな臭い」

「御意」

簡潔な言葉で、全てを理解して、また消える4人。

「─ああ、なるほど。兄さんの話の通り、廃墟の例の扉の向こう側、部屋が3つ」

「3つ?」

「ひとつは開かずの扉。その2つは……どこかの地下牢」

「どれくらいの距離がある」

「普通の人間が休まず歩けば、40時間くらい」

「割と近いか」

「うん。俺達なら、10分程度かな」

─パンッ

そこまで話がついた瞬間、彼……相馬は手を叩いた。
全ての空気が消し飛び、呼吸が楽になる。

「……すみません。急だったもので」

そう言って、息をつき、にこやかに微笑む姿。
さっきの威圧感とは別人のような彼に、幹部は全員、息を吐き、そして、呑んだ。

「結さんが命令を急に出したのは、きっと、あなたの身体の中にある柚希さんの血ゆえでしょう。いらっしゃったら、ちょっと調べて……あ、櫂!」

相馬は、扉の隙間から顔を出した“先生”を呼び止める。

「─終わったか」

「ああ。悪い。今の事よろしく」

「あまりにも投げやりすぎるだろう。ちゃんと説明を」

「しなくても分かるし、お前はそういう無駄が嫌いだろう。だから、省くんだよ。第三の長によろしく」

「……はぁ、僕は帰るぞ」

「ああ」

そう言って、本当に茉白と帰るあたりが、彼らしい。

「どうするの、兄さん。行くの」

「あ?」

「地下」

「行かない。まず、秋をどうにかする」

「ああ……あの家、元々腐ってるもんな」

「夏もかなりだよ」

「宗教絡んでそうで、面倒くさそう〜」

「そこら辺も纏めて片付けたくて、陽向さんは俺たちを派遣したのかもしれんな」

「えっ、1年で片付く!?これ!」

「俺が居なくなっても、お前達がいるだろ」

「言っちゃなんだけど、兄さんがいないと無理無理」

「諦めんな。─もし、夏と秋が何かをしていて、その影響がこの街に及んでいるとしたら、国はこの街、ひいては健斗さんに二度と頭が上がらなくなるぞ」

「それはそれで良い気もするけどね」

「馬鹿言え。過去に国が、この街にしたことを忘れたのか。一応、来る前に目は通させただろう」

ため息をこぼす相馬に、水樹は笑う。