「─千春」
「何」
「第三と第四を呼んで」
「……わかった」
黒宮家という組織。
警察の代わりに街で活動する、【第一】
誰かの身辺警護も、役割には含まれている。
別の職業に扮しつつ、街の安全を守る【第二】
学校で教師をしていたり、一般に紛れ込む。
研究を主とする【第三】
現場検証は勿論、医療系ではない研究を行っている。
情報を主とする【第四】
この街全体を常に見続けることができる機能を発明し、46時中、街の安全を守る役目がある。
細かく分けるともう少し長くなるが、今は。
「─黒宮結」
名前を呼ばれて、結は立ち上がり、自然と跪く。
─目の前の、全てを把握した“長”の前で。
「……はぁ」「……なるほどね、」
彼の双子の弟という、ふたりも何かを察したようにため息をつき、
「お前は、上手く適応しているんだな」と、“長”は呟いた。
「─ひとつ、聞かせてくれ。何故、お前は今、急に命令を出した?」
「何となく、柚希のことを思い出していて……」
「じゃあ、質問を変えよう。─血に、飢えたことは?」
それは、“支配者”の目だった。
一気に重くなる空気の中、平然とする双子を除き、幹部達ですら顔を歪めた。
櫂は察したのか、茉白を連れて部屋を出ており、流石の幼なじみだなと思いつつ、結は。
「1度だけ」
「現役の頃?」
「はい」
「その時、どうした」
「柚希の血を貰いました」
「どうなった?」
「血が沸き立つように息苦しくなり、その後、数日間は眠らず、任務に当たったことを覚えています」
「その頃から、傷の治りは早くなったのか」
「元々、早い方でしたが。輪にかけて早くなりました」
「……」
淡々と質問に答えていくと、足を組んで、何かを考えるように、自身の膝を指でテンポよくつつき、目を細める。
「─結界が、破られた」
ぼそり、と、彼が呟くと、
「兄さん」
「ああ」
氷月という双子の片割れが立ち上がり、自身の親指を噛み切り、紅い蝶を生み出して。
「─場所を特定するだけでいい。捕まえるな」
「わかった」
あまりにもスムーズな流れ。
「氷月、援護する」
水樹もそう言い、指を鳴らす。
途端、発生する風の渦。
「─来い」
彼がまた独り言れば、
「「「「お呼びでしょうか」」」」
どこからともなく現れる、4人の……。


