「良いよ。俺と一緒の時だけ、な」
「うんっ!あ、料理も教えてよ!今度、相馬が時間があるなら、みんなに振舞ってみたいんだ〜!」
にこにこな姿を見て、提案してよかったと思う。
守るだけじゃなく、出来ることをひとつずつ。
彼女の出来る時間を、笑う時間を少しずつ増やしていく。
横に居られるだけで、相馬の本能は鳴りを潜めてくれるようだし。
(一石二鳥だな)
適当に冷蔵庫から野菜を取りだし、まな板を置く。
沙耶の手にも合いそうな包丁を取り出す。
「─そういや、大樹さん達は料理するのか?」
「しないよ〜禁止されてるから」
「禁止?」
「うん。お兄ちゃん達が料理すると、破壊、血の海、ボヤ騒ぎで、食事どころじゃなくなるから、禁止なの 」
「それは……」
「本人達は真面目にやってるつもりなんだけどね、ハルちゃん達曰く、お米を洗剤で洗おうとしたり、まな板を包丁ひと振りで真っ二つ、あと、全指切りまくり……みたいな感じで。お米は洗剤で洗うことはなくなったんだけど、半分流しちゃうんだって。網とか使って工夫したけど、最終的に米粒の原型が無くなって、やめさせたって言ってた」
「……」
「多分、壊滅的にセンスがないんだと思う」
「え、そういう問題か?」
「まぁ……お父さん達曰く、お母さんと湊は朝陽に料理を習ったらしいんだ。アイラはボヤ騒ぎ起こして、怪我するから。あと、久貴も医者なのに、お腹に入れば良いってタイプで、余り物のごっちゃ煮?みたいなものばかり食べてたらしいから、遺伝なのかも。勇真お兄ちゃんはとりあえず、何でも鍋に入れて煮込もうとするから」
だから、カレーは麻衣ちゃんと一緒に、材料全部用意された状態で、見張りありなら、何とか作れる。……沙耶はそう言いながら、教えた通りに食材を切っていく。
「カレーは煮込むだけだしな……」
「そうなの。だから、シチューも得意だよ。ポトフは麻衣ちゃんが味付けしてる。混ぜてるだけだよ。けど、本人からしたら、すごい成長だよ」
沙耶は初めての体験が楽しいのか、幼い頃からの見様見真似で包丁を使う。


