世界はそれを愛と呼ぶ




「どうした?」

「人を招いたことがない……?水樹達も?」

「うん。立場的に、というか、猜疑心が強いもんで」

「私、今、思いっきり入ってるけど」

「沙耶は良いよ。別に警戒してない」

「え、なんで……」

「……何だろうな。波長が合う」

番だから、当然の話だが。
そんなことを口にしたところで、自分が化け物であることを証明するだけ。なら、言わない方が良い。
彼女に余計なことを背負わせたくないし、安心出来る場所を与えてあげたいのに、本末転倒になる。

「波長……ああ、わかる気がする」

「わかる?」

「うん。相馬って、安心感あるよね。私、他人には基本、警戒心が強くなりがちだけど。相馬相手なら、そんなに気を張らなくても大丈夫な気がする」

「それは光栄なことで」

「うん♪」

にこーと笑う沙耶。
本来の彼女は、こうやってニコニコ笑う人懐っこいタイプだったという。

それを失わせ、翳りを落とした相手方の真の望みはなんだと言うのだろうか。

(火がないところに煙は立たない。でも、少しでも火種があったのならば?……それは発見される時、大火となっていることだろう)

フィーの話を、誰も沙耶には話していない。
たったひとつの恋から始まったとしたら、この一連で多くの人を亡くし、心を壊し続けた沙耶はどう向き合えばいい。

誰かを愛することに夢を見ていた沙耶が、その自分勝手な想いで全てを壊されたのだと知ったら。

(何より、実験、が、尾を引く。それに、あの地下牢……西園寺家のものとは考えにくい。調査させた結果、上の建物と地下の築年数に差があったらしいから)

夜雨からあがってきた報告を思い出しながら、沙耶を見ると、最近、少し肩の荷が降りているのか、柔らかい表情をしていた。