世界はそれを愛と呼ぶ

☪ ‎



─昼頃。あの後、学校案内はすぐに終わった。
まだ仕事が終わらないらしい生徒会長は学校に残り、水樹はいつの間にか友達になったという、スポーツ科の生徒と遊ぶらしく、学校のグラウンドへ。
一方、氷月は図書室の本が気になると、図書室に消えた。

自由な双子の弟達に今更、何かを思うことはなく。
やることが無い相馬は書類だけ貰って、帰路に着く。

横では書類を眺めながら、面倒臭そうな顔をしている沙耶。
無意識に自然と一緒に帰っていたが、ここ数日、ずっと一緒にいる気がする。

「沙耶」

「ん〜?」

「湊(ミナト)さんからさ」

「うん」

「お前がご飯食べるように見張って欲しいと言われてて」

「……うん、」

「お昼、どうする?」

ピタリ、と、沙耶の足が止まる。

「……お父さんとお母さんと湊はいないけど」

「仕事だろ?平日だし」

「ハルちゃんやお兄ちゃん達もいない」

「だから、仕事じゃ……」

「フィーも出掛けてて」

「うん」

「…………食べなきゃダメかなぁ?」

ここで、沙耶が何が言いたいかわかった。
見ている人がいないから、相馬に共犯になって、誤魔化して欲しいということだ。勿論、却下だが。

「居なくても、ご飯は食べないとダメだろ」

「だって、お腹空いてないから……」

「勇真さんが、それは精神的に解離する期間が長くなりすぎた弊害だと言っていただろ?四の五の言わずに、何か食べるぞ。俺はお腹空いたし」

「相馬だけ食べればいいんじゃ……」

「じゃあ、誘ったけど断られましたって伝えておく」

「いやいやいやいやいや!それは卑怯じゃない!?」

「湊さん筆頭に、『用意しても食べないから、食べられそうなものを口にねじ込んで』って言われてるんだ。こんなこと、女性に聞くことじゃないことは百も承知だが、お前、今体重いくつだ?この間、本当に軽すぎてビビったんだが」

「え、えー…………」

静かに目を逸らす沙耶。

「ま、まぁ、お母さんも細めだし!」

「過去の影響からだろ?食べさせて貰えなくて、栄養失調で成長期を過ごした結果、胃を始めとした内臓の調子が悪く、あまり食べられないと聞いた」

「そんなことまで、相馬に話すの……?」

沙耶は次の言い訳を考えようと頭を捻り、答えそうにないので、とりあえず抱き上げてみる。

「おわっ、?」

戸惑う沙耶を無視して持ち上げた感じ、小学生そこらと変わらない気がして、沙耶を見ると。