─そして、もうひとつは、月が満ちた時。
その夜は耐えられないほどの渇きが、彼らを襲う。
そして、月明かりが照らす中、彼らは満たされない欲求に抗うことが出来ず、壊れていく。
その欲求は、番を求めるもの。
恐らく、御園家特有の渇きであり、その根源は初代夫妻の婚姻の際に結ばれた誓いが呪いとなり、この家にあるのだと考えられている。
その欲求が酷く出る夜は、彼らは部屋から出ることはない。無闇な呪いによる犠牲者を出さぬ為、余計な子が産まれぬように。彼らは自らと戦う一晩を過ごす。
そして、その欲求は番がいれば、全て番に注がれ、番がいれば、彼らは死ぬほど辛い夜を過ごすことはなくなる。
但し、運命と名乗る御園家の定めに従い、運命の番に限る話ではあるが─……。


