世界はそれを愛と呼ぶ





ひとつは、月が隠れて眠った夜。
彼らを襲うのは、耐え難い飢餓感。
それは普通の食事では満たされず、普通に生活している日々の中では考えられないくらいの空腹感が襲い掛かり、気を狂わせていく。

鬼の郷がある場所のように、自然のエネルギーに溢れているわけでもなく、普通の人々と共生し、人々によって作り替えられた土地で生活するのは、とても過酷で。

欲求を制御する力はなかった。
彼らは布などを噛み、夜が開けるのを待つ。

そんな彼らの飢餓感を緩めるのが、番の存在だ。
彼女達の唾液や血液などの体液、匂い、ぬくもりなどの感触、声などが、彼らを空腹からすくい上げる。