世界はそれを愛と呼ぶ



「……御園相馬様は、どこまでご存知ですか」

「さあ?あの方の考えることなんて、完璧に理解したことはないわ。今、沙耶様の為に動かれていることだけは、事実だけどね。一応、私が得た情報はお伝えするように手続きは踏んでいたから、把握されていると思う」

「どうして、この施設が生まれたのかも?」

「……辿れば、下らない理由なのでしょうね。私は詳しくは知らないわ。でも、私達よりも人としても、能力者としても、上のお方。きっと、何かしらは得ていると思う。それを、あの方は口にすることも、頭や心で考えることもないけれど」

それは、読心を避けるためである。
特別な力を持ってしまえば、そういう力を持っているか人間がいてもおかしくないため、相馬様は思考をあまりされない。

いや、していなかったら行動できないから、正確にはしているのだろうが、あの微笑みからは、何も分からない。

笑顔で全てを隠される方だから、それを唯一、曝け出せる相手が、沙耶さまだから。

「─っ!」

お互いに黙りあう時間が続いて少し、どんな結論にたどり着いたのか、彼は背後を振り返り、

「─恐らく、相馬様だろうけど。15階の秘宝が盗まれたみたい。人が集まってくるから、心優を……」

「わかった。わかったわ。同じ、四季の能力者だもの。貴方がやることがあるならば、止めはしない。でも、貴方はひとりで完全な能力者では無いことを理解しているわね?」

彼は頷く。─それが分かっているならば、上々だ。

「─君、君は、私とおいで」

ちゃんと彼の意思確認もできた。仕方ないので、彼の希望に乗ってやる。

ただ、近く牢屋からこちらを見つめている少女は連れていきたい。まだ5歳くらいのその子は大人しく、頷いてくれたので、牢屋を軽く歪め、連れ出した。

抱っこすると、ぎゅうっと抱きついてきて。
その小さな身体ですら、利用されるのだと苦しくなった。

「─あ、じゃあ、俺も出てい?」

ついでに、同じ牢屋に入れられている青年にも声を掛けられたので、

「自分で走れるなら」

と、綺羽が告げると。

「走れるー!」

と、ニコニコ笑顔で。

「あ、その前に自己紹介!父さんにちゃんとしろって言われてんだよね〜。イトって呼んで!」

「イト?」

「うん!ここ、暗すぎて〜ちょっと作品生み出すの、限界〜早く外で、名曲を生み出さなきゃ!」