世界はそれを愛と呼ぶ



姉夫妻はその後、約束通り、よく遊びに来た。
要はとても懐いていて、幸せそうで、要がいつか自分の能力を操れるようになれば、普通に……なんて。

年月が流れゆくのは早く、要が15の年。

「─ねぇ、俺ってさ、あの二人の子でしょ」

要は、ふたりを両親と知っていた。
本能的にわかるらしく、謝罪をすれば、首を横に振って、「ううん、守ってくれてありがと。鷹遠」と、まだ幼さが残る顔で笑った。

姉夫妻には、下に何人も子が生まれていた。
しかし、鷹遠は両親が幸せそうでよかったと笑い、その後も伯母伯父として両親に対しては接して、弟妹に当たる彼らを慈しんだ。

想像通り、要は強くなった。
それは鷹遠よりも、何よりも。
そして、御園家を一気に世の頂点へと導いた。

鷹遠が大切にしている、神夜が最期を迎えた桜の木。
廃屋は消えたその更地に、御園家を設けた。

大きな屋敷を設置し、仕組みをどんどん作り替えていく中で、鬼の血を引くものたちが生きていけるような制度を構築し、人間との共生を計った。

もちろん、こちら側の制約は多かったが、それでも、要は両種族の間に立つ者として、責任を果たしていた。

要は死にかけた人間の子供に、自らの血を与えた。
鷹遠が昔、教えた方法。
神夜が死んでしまったあとに見つけ出した、鬼にすることで救う方法。

そして、御園家はどんどん大きくなっていった。
番を見つけることもなく、要は若々しい姿のままで御園家に居続け、気付けば、両親どころか兄弟姉妹、その孫まで見送る羽目になっていた。

「……あんま言いたくないけど、お前、死なねぇな?」

鷹遠が言えば、

「それ、俺の台詞だよ。鷹遠、長生きしすぎじゃない?」

なんて、そんな言葉を交わし合う始末。

気付けば、要を預かってから500年ほど経ち、流れに逆らわず、表舞台から身を隠して生きていたふたりは、自分達の訪れない終わりに首を傾げている。

「鷹遠はさ、契約?がうまく成り立っていない時期に、最愛を亡くしているでしょ」

「ああ、まあ……」

「鷹遠の前後だと、皆、番の後を追って自ら……って感じじゃん?でも、ここ100年くらいは1年以内に、勝手にあと追うようになって……なんかしたの?」

「俺はしてないから、お前だろ。要」

「俺ぇ?」

心当たりなーい、と、500歳は超えているだろうに、いつまでも子供っぽい要。