「……この子の名前は?」
「かなめ、要です。鷹遠さま」
妻を案じながら、子を想う父親。
種族が違うだけで、大切なものを想う気持ちは同じなのだと教えられたようで、鷹遠は。
「今は、姉様からこの子を引き離さなければなりません。恐らく、御園家の血縁上の宿命です。血縁の呪い、とも申しましょうか」
「血縁の……どうすれば、妻は」
「この子は恐らく、俺の後継となる。……俺が育て、守ります。この子を見守り、立派な大人と致しましょう」
「っ、で、ですがっ」
「いつでも会いに来てください。姉様にとっては、身体及び精神的な負担になるでしょうから、長時間は難しいかもしれませんが……あなたが父親であることは変わりないので。番と引き離されるのは、貴方には死ぬよりもしんどいでしょう。なので、これしか方法はありません」
「妻にはなんといえば」
「残酷ですが、姉様にはこの子のことを伝えない方が良いかと。死産だった、とでも伝え、俺の子として紹介してください。そうすることで、姉様の心を守るしかない」
「……っ」
「酷い選択を迫っていることは理解しています。ですが」
「……っ、この子は愛されるために産まれてきたのに」
周囲の話で、要の誕生を心待ちにしていた夫婦だということはよく知っている。
でも、血縁の呪いのせいで、姉様は廃人となっている。
このままいけば、姉様を待つのは衰弱死。
それは、番である彼の死も招くことになるし、結果として、要は孤独となってしまう。─それならば。
その後、長い時間を掛けた話し合いの末、要は鷹遠が引き取ることになった。
要の成長は思った通り早く、その霊力は鷹遠を上回るのではないかと思うほどに多かった。
(俺の甥っ子……姉の巫女の能力、そして、父親の鬼としての本能が加わっているのだ。俺より強くて当たり前だが)
この子はどんな人生を歩むのだろう。
願わくば、幸せに満ち足りたものであったら─……。


