世界はそれを愛と呼ぶ

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「─かけまくもかしこき大御神」

暗雲が立ち込めていく。

大きな鳥居が、彼の進む道を示していく。

「お通し下さい」

雷鳴が、鳴り響く。
鳥居のど真ん中、彼が闊歩する。
神々の愛し子・神宮寺慧(ジングウジ ケイ)。

彼の手には刀、背には弓矢。
どちらも神宮寺の宝物庫にあったはずの神具。

「─慧」

相馬が目の前に立つと、彼は歩を進めるのを止める。

「……もういいか?」

いつもの無口で、大人しい慧ではない。
怒り狂い、神々と共鳴する彼は。

”鬼”である相馬の意思を仰ぐ。

「……全く、鬼も天狗もびっくりだぞ」

相馬が笑いながら頷くと、境内から静寂を引き裂く鐘の声が響き、共鳴するように、雷鳴が響く。

”一度は棄てようとした命を拾い、無駄に生き延びてきた中で出会った最愛”

─慧と相馬に共通するのは、その存在を害されている現実であり、それは許し難いこと。

「じゃあ、行こうか」

相馬がそう言うと、慧はそれはもう美しく、微笑んだ。