世界はそれを愛と呼ぶ

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─父に見送られたあと、足早に御国家へ向かうと、先に父が連絡しておいてくれたらしい。
話が早く、綺羽は御国家当主の元へ案内された。

「話は、仁成より聞いています。此度の件もまた、御園御当主より説明を受けております。勿論、手をお貸し致しましょう」

「助かります。心より感謝致します」

上座に座る当主は優しく微笑んで。

「─また、遊びにいらっしゃい。綺羽ちゃん」

早急でなければ、昔のようにお菓子を食べれたのか。
優しい、明るい親戚のおばさんのように接してくれる、親しみやすい御国家当主様。

母を亡くした綺羽に優しく、可愛がってくれる彼女は堅苦しいのが苦手と言いながら、きちんと、形式に則ったやり方で、綺羽を援護してくれるので有難い。

(そういう細かなところを攻撃してくる、馬鹿どもしかいないからな……)

付けいられる隙を与えないよう、動いてくれることに感謝しつつ、案内された先。

「─綺羽」

微笑む青年に、綺羽は目を見開いた。

「柚琉(ユズル)……まさか、あなたがつくの?」

訊ねると、彼は優しく微笑んで頷く。

「僕と兄さん、あとは、御国の者が」

そういう彼─御巫柚琉は、御国と並ぶ、御園の分家たる御巫家当主の孫であり、綺羽の恋人だった。