「……愚問、か」
後悔するような言葉に、京子は微笑んで首を振る。
「いいえ。いいえ、叔母様。私の身を案じてくれて、幸せを祈ってくれているのはわかるの。あの崩壊していた御園家の中で、周囲に喰われず、逃げ出した貴女の勇気に尊敬を覚えているわ。逃げ出して、全て忘れて生きても良かったのに……今も遠くから、私達を見守り続けてくれて。こうやって駆けつけてくれて、本当に嬉しいの。だからね、御自分を責めないで?」
御園京子は、短い黒髪に着物姿の美しい女である。
「でも……」
母親によく似た美しい容貌の中、ふと見せる表情は、父親譲りであり、それは千華に兄の名残を感じさせた。
「……今日は、叔母様の優しさに甘えようかしら」
当の本人はそんなことを知る由もないが……。
京子は叔母の顔の翳りを見て、判断した。
恐らく、このまま稽古を続けるのは、互いに良くない効果をもたらす可能性がある。
ならば、少しお話をして過ごすのも良いだろう、と。
「叔母様、お外でのお話を聞かせてくださる?」
京子が首を傾け、そう尋ねると。
「─あ、ああ、勿論」
叔母は、泣きそうな顔で頷いた。


