☪︎
「……それで、結局負けたんだ?」
ケラケラと笑いながら、お弁当を食べる桜達。
「負けた……相馬、すっごい楽しそうで」
「仕方ないよ〜相馬の伯父さんたちもそんな感じだもん」
幼なじみである桜と澪からの証言は強い。
「にしても、沙耶って学校で強くない?」
「え?強い?どういう意味で?」
「何でかな。黒橋家の令嬢だから?」
ここ数日の学校生活を思い出す。
「別に、特に何かをした記憶もないけどな?あるとしたら、やっぱりその肩書きじゃない?あと、普通に私も編入生扱いだからね」
「失踪してたから? 」
「そうそう」
遠巻きに見られることも、噂されることも慣れているので、特に何も思っていなかったが、やっぱり、自分は柚香などの特定の友人がいなければ、ぼっちなんだと実感し、とっても複雑である。
「普通、中学の卒業式で、いきなり失踪はしないよね」
「うんうん。お金が有り余っている相馬ですら、世界中に家あるけど、それなりにパッキングしてから行く」
「……反省は、してるんだよ」
あの時はいっぱいいっぱいだったにしろ、荷物のひとつくらいは持っていけっていうのは、そりゃそうとしか納得できないわけで……というか、今、世界中に家?……御園家の財力とかなら変な話ではないけど、怖いのでとりあえず、聞かなかったことにする。
「二度としちゃダメだよ。そんなことしたら、沙耶をそこまで追い込んだ物体が塵芥になっちゃう」
「うんうん。相馬って基本、怒らないけど……怒った時にやることが思い切り良すぎて、怖いんだよね」
「え、ええ……」
桜と澪の言葉は、あまりにも信憑性が強すぎて。
「完璧に見える相馬でもね、やっぱり分からないこととかはあるわけ。聞いているかは分からないけど、相馬の従姉がね、昏睡状態で目覚めなくて。今も目覚めさせる方法は模索中なんだけど、その一件は荒れたよ」
「荒れたよね〜その件に関して失言した奴が、病院送りになった」
「病院送り……?」
「うん。相馬の目の前で、怯えきって……可哀想だったよ。本当に」
「……」
相馬は自分のことを化け物だなんだと言って、話す内容からして、人間以外の、鬼の血が流れているんだろうけど、それにしても、そこまで……全然、普段の優しくて甘い相馬からは想像がつかない……。
「……沙耶の考えていること、何となくわかるけど。沙耶の前の相馬はまた別だからね」
「え?」
「沙耶の前だと、相馬は砂糖菓子だもん。本来の相馬は、薫と同じタイプだから」
「いやいや、桜、昔の相馬は今と変わらないよ。薫も桜の前だと、砂糖菓子でしょ?」
「…あれ?」
「単純に、沙耶という存在ができて、態度が分かりやすくなっただけだよ〜」
卵焼きを頬張りながら、澪は笑う。
「ふたりが幸せそうで、嬉しいね」
「フフッ、そうだね!」
「……っ」
優しい笑顔に、元気よく答える桜。
未だ気恥ずかしくて、小さく頷くことしか出来ない。
「─あ、そうだ!今度さ、柚香や真姫も誘って、ショッピング行こうよ〜!時間があれば、茉白も!」
「良いけど……澪、何か欲しいものでもあるの?」
「うん。甲斐の奥さんがね、妊娠したの。だから、お祝いを買いに行きたくて……」
「え!?」
「身体的に弱いし、やっぱり、悪阻も重いみたいで。絶対安静で、変わらず入院中だけどね」
甲斐というと、相馬の信頼している兄のような秘書。
澪の、年上の義弟だ。結婚していてもおかしくない年齢であるけど、結婚していたのは初耳。
「甲斐の奥さんね、依織(イオリ)さんっていうんだけど。産まれてすぐに管だらけになるくらい、生死を彷徨ってね。今も入院してることが殆どな人なんだけど……天涯孤独なの。捨てられて。施設に入る話もあったけど、あまりにも身体が弱すぎるから、私達の幼なじみのひとり、美月っていう女の子の病院で生活してるの。まだ幼い頃に、甲斐が一目惚れしてね〜そこには、それは素敵な恋物語があるけど!とりあえず、それは本人とあって聞いたらいいよ。可愛いから」
既に色々と聞いたんだろうな……と、澪の面白そうな反応から察してしまう。
「それにしても、よく妊娠出来たね?おじさん、反対しなかったの?というか、そもそも、甲斐がさ……」
「ふたりとも大反対!それはもう。だって、出産に耐えられないかもしれないもの。でもね、依織の方が上手で……」
「何したの?」
「御園家を利用した、というか?」
えへっ、と、澪が小声になって。
「依織がニコニコしながら、『桜たちにも話して〜!』って言ってたから、話すんだけどね……あ、沙耶の事も話してて、『相馬が!?』って喜んでたから、今度いっしょに会いに行こうね」
ちょっと方向性が変わってきた。
雰囲気的に、儚い女性とは違うかもしれない。
「……それで、結局負けたんだ?」
ケラケラと笑いながら、お弁当を食べる桜達。
「負けた……相馬、すっごい楽しそうで」
「仕方ないよ〜相馬の伯父さんたちもそんな感じだもん」
幼なじみである桜と澪からの証言は強い。
「にしても、沙耶って学校で強くない?」
「え?強い?どういう意味で?」
「何でかな。黒橋家の令嬢だから?」
ここ数日の学校生活を思い出す。
「別に、特に何かをした記憶もないけどな?あるとしたら、やっぱりその肩書きじゃない?あと、普通に私も編入生扱いだからね」
「失踪してたから? 」
「そうそう」
遠巻きに見られることも、噂されることも慣れているので、特に何も思っていなかったが、やっぱり、自分は柚香などの特定の友人がいなければ、ぼっちなんだと実感し、とっても複雑である。
「普通、中学の卒業式で、いきなり失踪はしないよね」
「うんうん。お金が有り余っている相馬ですら、世界中に家あるけど、それなりにパッキングしてから行く」
「……反省は、してるんだよ」
あの時はいっぱいいっぱいだったにしろ、荷物のひとつくらいは持っていけっていうのは、そりゃそうとしか納得できないわけで……というか、今、世界中に家?……御園家の財力とかなら変な話ではないけど、怖いのでとりあえず、聞かなかったことにする。
「二度としちゃダメだよ。そんなことしたら、沙耶をそこまで追い込んだ物体が塵芥になっちゃう」
「うんうん。相馬って基本、怒らないけど……怒った時にやることが思い切り良すぎて、怖いんだよね」
「え、ええ……」
桜と澪の言葉は、あまりにも信憑性が強すぎて。
「完璧に見える相馬でもね、やっぱり分からないこととかはあるわけ。聞いているかは分からないけど、相馬の従姉がね、昏睡状態で目覚めなくて。今も目覚めさせる方法は模索中なんだけど、その一件は荒れたよ」
「荒れたよね〜その件に関して失言した奴が、病院送りになった」
「病院送り……?」
「うん。相馬の目の前で、怯えきって……可哀想だったよ。本当に」
「……」
相馬は自分のことを化け物だなんだと言って、話す内容からして、人間以外の、鬼の血が流れているんだろうけど、それにしても、そこまで……全然、普段の優しくて甘い相馬からは想像がつかない……。
「……沙耶の考えていること、何となくわかるけど。沙耶の前の相馬はまた別だからね」
「え?」
「沙耶の前だと、相馬は砂糖菓子だもん。本来の相馬は、薫と同じタイプだから」
「いやいや、桜、昔の相馬は今と変わらないよ。薫も桜の前だと、砂糖菓子でしょ?」
「…あれ?」
「単純に、沙耶という存在ができて、態度が分かりやすくなっただけだよ〜」
卵焼きを頬張りながら、澪は笑う。
「ふたりが幸せそうで、嬉しいね」
「フフッ、そうだね!」
「……っ」
優しい笑顔に、元気よく答える桜。
未だ気恥ずかしくて、小さく頷くことしか出来ない。
「─あ、そうだ!今度さ、柚香や真姫も誘って、ショッピング行こうよ〜!時間があれば、茉白も!」
「良いけど……澪、何か欲しいものでもあるの?」
「うん。甲斐の奥さんがね、妊娠したの。だから、お祝いを買いに行きたくて……」
「え!?」
「身体的に弱いし、やっぱり、悪阻も重いみたいで。絶対安静で、変わらず入院中だけどね」
甲斐というと、相馬の信頼している兄のような秘書。
澪の、年上の義弟だ。結婚していてもおかしくない年齢であるけど、結婚していたのは初耳。
「甲斐の奥さんね、依織(イオリ)さんっていうんだけど。産まれてすぐに管だらけになるくらい、生死を彷徨ってね。今も入院してることが殆どな人なんだけど……天涯孤独なの。捨てられて。施設に入る話もあったけど、あまりにも身体が弱すぎるから、私達の幼なじみのひとり、美月っていう女の子の病院で生活してるの。まだ幼い頃に、甲斐が一目惚れしてね〜そこには、それは素敵な恋物語があるけど!とりあえず、それは本人とあって聞いたらいいよ。可愛いから」
既に色々と聞いたんだろうな……と、澪の面白そうな反応から察してしまう。
「それにしても、よく妊娠出来たね?おじさん、反対しなかったの?というか、そもそも、甲斐がさ……」
「ふたりとも大反対!それはもう。だって、出産に耐えられないかもしれないもの。でもね、依織の方が上手で……」
「何したの?」
「御園家を利用した、というか?」
えへっ、と、澪が小声になって。
「依織がニコニコしながら、『桜たちにも話して〜!』って言ってたから、話すんだけどね……あ、沙耶の事も話してて、『相馬が!?』って喜んでたから、今度いっしょに会いに行こうね」
ちょっと方向性が変わってきた。
雰囲気的に、儚い女性とは違うかもしれない。


