世界はそれを愛と呼ぶ




「……創祐は、沙耶とは違う意味で難しい」

健斗さんはそう言いながら、顔を覆う。

「珍しく、健斗さんが焦っている場面を見ました」

相馬が素直に感想を述べると、

「多分、創祐は天才肌ってやつなんだと思う。同時に、あまり物事を考えることが得意じゃないのか、流されるように生きている節もあって。勇真たちと話し合って、創祐に関しては、その生き方を見守る方向にしたんだが」

健斗さんはそう言いながら、近くのちょっとした本棚に立っていた雑誌を見せてくれた。

「放っておいたら、モデルになってて」

「モデルに」

「外で散歩していたら、スカウトされたらしくて。同時に、今度は演技に挑戦することになったとか」

「なるほど?」

「でも、元々は小説家で、一度没頭すると、中々、こちら側に帰って来れないタイプらしく、あまりに続く不摂生から、麻衣子が外に散歩にやったら、モデルになって帰ってきた」

それはあまりにもてんこ盛りすぎて、難しい相手だ。
人気小説家で、モデルで、俳優業にも挑戦したがっていて?高校生としての生活もあるのに。

でも、本人は特に苦でもない雰囲気なのが、難しいポイントなのだろう。自由に生きさせる方針である勇真さんは尚更、のんびり屋な息子を本当に放っておいていいのか、悩んでいるらしいから、余っ程だ。

ただのんびり屋で、マイペースすぎるだけで、天才肌ゆえに困ってなくて、微睡んだ猫みたいな。

「さっきの話し方的に、施設で一緒にいたのはお兄さんですかね」

「多分、あいつの文脈的には?今日はまだマシだったが、自分の世界がちゃんとあるからか、時折、話題が飛びまくる時があってな」

健斗さんは一気に疲れたのか、

「ユイラと寝てこようかな……」

と、恐らく、お昼寝しているであろう愛妻を思い浮かべて、「あー」と声を出す。

それとほぼ同時になったスマホを手に取り、何かを確認した健斗さんは身体を起こすと、スマホを机の上に置いて。