☪︎
「─湊は今、出掛けとるよ。部屋で待っとき」
黒橋家を訊ねると、健斗さんがいた。
数日はいるらしく、沙耶を残していこうかと問えば、
「相馬の迷惑やないなら、傍においてやって。魘されず、安心して眠れるなら、その環境の方が良い」
と、彼は笑った。
促され、沙耶を抱いたまま、ソファーに座る。
健斗さんはキッチンに向かい。
「沙耶、そこら辺に寝かせても……」
「いえ、今は。先程、少し不安定になっていたので」
「不安定?何故」
相馬は先程、槙たちとあった話をした。
常磐のことも勿論話していくと、不法侵入の件は聞いていたのか、健斗さんは
「その男の件なら、数日前に湊が片付けている。どうやら熱心な信者様らしく、槙に接触することで、俺達の動向を探ろうとしていたらしい。まぁ、それは様々な方法で入り込んできては、やらかす……っていうのはいつもの事だからどうでも良いが、常磐をお前が裁く時、槙は巻き込まないであげて欲しい」
相馬に珈琲を手渡しながら、向かい側に座った。
「それは勿論です。本当にそうなのか、調べるところからでもありますが……」
「─ただいま」
はぁ、と、相馬がため息をついた時、帰ってきた誰か。
健斗さんが顔を上げ、彼を認めると。
「おかえり、創祐(ソウスケ)」
「ただいま。健斗さん」
松山創祐─勇真さんの2番目の養子であり、沙耶と同い年の青年は沙耶を目にすると、
「珍しいね、よく寝てる。話には聞いていたけど、本当に相馬さんの傍が安心するんだね」
と、感心したように言った。
「初めまして」
相馬が声を掛けると、
「初めまして。松山創祐です。俺のことは知ってた、よね」
「うん」
「だよね」
どこかマイペースな雰囲気、氷月と似たような雰囲気を感じて、相馬は笑ってしまう。
「御園相馬です。相馬と呼んでくれ」
「わかった。ねぇ、相馬ってさ、この国の偉い人に話出来るって本当?」
「え?まぁ、人にもよるけど?」
さすがに、国の御大尽となれば面倒臭いから避けたい話。
すると、創祐は考え込んで。
「そっか……ほら、俺さ、疾風兄さんとは違って、施設から脱走して、母さんの養子になったんだけど」
「……施設から、脱走」
「そう。その時、母さんはまだ結婚していなくて、地元の有名な地主の家でお世話になっていた頃で、父さんが迎えに来てプロポーズするまでは、俺も母さんの子としてそこで生活していたんだけど」
「お、おお」
ざっくりとした話は聞いていたが、意外と面白そうな話で相馬は戸惑ってしまった。
「施設がゴミみたいな経営でね。まともなご飯もお風呂も無くて、嫌すぎて飛び出して、その母さんの義理の両親、つまり、俺の血の繋がらない祖父母に潰してもらったの」
「うん」
「最近、そういや、あの施設にいた時、一緒にいた奴がいたなぁ、会いたいなぁ、と、おもって」
「ああ、人探し?」
「それもあるけど、それは湊に頼めば良いじゃん」
「だよな」
「そうじゃなくて、両親に会ってみたくて」
「両親に会ってみたくて???え、わかるのか。誰か」
「え、うん」
当然じゃないの?、という顔で首を傾げる創祐を前に、静かにカップを置いた健斗さんは。
「─湊は今、出掛けとるよ。部屋で待っとき」
黒橋家を訊ねると、健斗さんがいた。
数日はいるらしく、沙耶を残していこうかと問えば、
「相馬の迷惑やないなら、傍においてやって。魘されず、安心して眠れるなら、その環境の方が良い」
と、彼は笑った。
促され、沙耶を抱いたまま、ソファーに座る。
健斗さんはキッチンに向かい。
「沙耶、そこら辺に寝かせても……」
「いえ、今は。先程、少し不安定になっていたので」
「不安定?何故」
相馬は先程、槙たちとあった話をした。
常磐のことも勿論話していくと、不法侵入の件は聞いていたのか、健斗さんは
「その男の件なら、数日前に湊が片付けている。どうやら熱心な信者様らしく、槙に接触することで、俺達の動向を探ろうとしていたらしい。まぁ、それは様々な方法で入り込んできては、やらかす……っていうのはいつもの事だからどうでも良いが、常磐をお前が裁く時、槙は巻き込まないであげて欲しい」
相馬に珈琲を手渡しながら、向かい側に座った。
「それは勿論です。本当にそうなのか、調べるところからでもありますが……」
「─ただいま」
はぁ、と、相馬がため息をついた時、帰ってきた誰か。
健斗さんが顔を上げ、彼を認めると。
「おかえり、創祐(ソウスケ)」
「ただいま。健斗さん」
松山創祐─勇真さんの2番目の養子であり、沙耶と同い年の青年は沙耶を目にすると、
「珍しいね、よく寝てる。話には聞いていたけど、本当に相馬さんの傍が安心するんだね」
と、感心したように言った。
「初めまして」
相馬が声を掛けると、
「初めまして。松山創祐です。俺のことは知ってた、よね」
「うん」
「だよね」
どこかマイペースな雰囲気、氷月と似たような雰囲気を感じて、相馬は笑ってしまう。
「御園相馬です。相馬と呼んでくれ」
「わかった。ねぇ、相馬ってさ、この国の偉い人に話出来るって本当?」
「え?まぁ、人にもよるけど?」
さすがに、国の御大尽となれば面倒臭いから避けたい話。
すると、創祐は考え込んで。
「そっか……ほら、俺さ、疾風兄さんとは違って、施設から脱走して、母さんの養子になったんだけど」
「……施設から、脱走」
「そう。その時、母さんはまだ結婚していなくて、地元の有名な地主の家でお世話になっていた頃で、父さんが迎えに来てプロポーズするまでは、俺も母さんの子としてそこで生活していたんだけど」
「お、おお」
ざっくりとした話は聞いていたが、意外と面白そうな話で相馬は戸惑ってしまった。
「施設がゴミみたいな経営でね。まともなご飯もお風呂も無くて、嫌すぎて飛び出して、その母さんの義理の両親、つまり、俺の血の繋がらない祖父母に潰してもらったの」
「うん」
「最近、そういや、あの施設にいた時、一緒にいた奴がいたなぁ、会いたいなぁ、と、おもって」
「ああ、人探し?」
「それもあるけど、それは湊に頼めば良いじゃん」
「だよな」
「そうじゃなくて、両親に会ってみたくて」
「両親に会ってみたくて???え、わかるのか。誰か」
「え、うん」
当然じゃないの?、という顔で首を傾げる創祐を前に、静かにカップを置いた健斗さんは。


