「沙耶を結果的に利用するのは、今回だけです。沙耶を追い詰める全てを潰す為に、四季の家の膿を出し切ります。沙耶を追い詰めるものに、関わっているでしょうから。きっと、数年後には大ニュースとなり、未来では教科書にも載るでしょう」
「相馬、おまえ」
「大丈夫です。陽向さん」
相馬は敢えて言わないが、自分の最期は独りでいい。
同時に、自分にもしもの時の備えも完璧だ。
「あの人、母様のような人は出しません」
「……っ」
「少なくとも、俺の代では」
相馬の母は、自殺した。
相馬を恐れ、恨み、罵り、嘆き、「返せ」と叫ぶ。
ずっと考えたいたことだ。
それが最近、少しずつ母の目の信憑性が増しているだけ。
─本当に、彼女の息子は【相馬】なのか。なんて。
「つまらない話は終わりにしましょう」
相馬はそう言って、陽向に背を向ける。
一通りの布石は撒いたから、それがどう作動するのか、それを確認しておかなければ。
同時に、動いている総一郎兄の真意を知りたい。
ショッピングモールで、茉白に接触していたメイドは間違いなく、兄さんの側近だから。
「俺達は今から、黒橋家へ向かいます。湊さんに話を聞くために。慧達は、勇真さんの病院にいると思います」
「相馬っ!」
「大丈夫です。ここに来てしばらく経ちますが、抑え込むことは出来ています。だから」
「次の新月は」
「大丈夫ですよ。ちゃんと対策しています」
「ひとりになる方法以外でか?」
相馬は陽向を振り返り、微笑んだ。
「俺を誰だと思っているんですか?陽向さん。御園の当主となる人間は本来、孤独なものですよ」
それでいい。それが当たり前。
『うちの息子を返してっ!!!』
耳にこびりついた、悲しそうなあの人の声。
諦めることは、人より得意だ。
だって望めば望むほど、その悲しみは増すから。


