世界はそれを愛と呼ぶ




「─相馬、槙はそう見えて純粋なの。遊んじゃダメ。楽しいのはわかるけど」

すると、沙耶が背中からのっかってくる。

「悪い悪い。なんか相談があるらしいが、勝手に暴走したので面白くて。何なら、本当にお金でも」

「それなら、沙耶に借りるよ!」

「え、いくら?」

「冗談です!!」

「え〜、俺に借りてよ〜」

「怜皇は黙ってろ!!」

肩で息をしながら、少し槙が可哀想になってきた頃。

「というか、五人?前は三人じゃなかった?」

と、沙耶が訊ねた。

「ああ……両親が、置いていった」

「またぁ?」

「まただよ。でも、あいつらに罪は無い」

「それはそうでも!え、だって、すぐ下の弟は……」

「父親違いだな」

「その下の双子は、母親違いでしょ?」

「……4番目は、父親違い。5番目は母親違い」

「本当の両親、どこ行った?」

「2番目の父親はムショ」

槙も言い慣れているのか、目頭を押さえる。

「全員、捕まえてやりてぇけど……」

「捕まえられないの?育児放棄で」

「外のどっかにいるんだぞ?探せねぇの。それより、また、3番目4番目の母親の名前で借金が」

「いくらよ」

「3000万」

「……あのね、あんたが返すから、向こうもつけあがるのよ」

「だって、借りたもんは返さねぇと」

「それはそうかもしれないけど。見つけ出せばいいじゃない。そういう腐った人間、黒橋家が許すと思う?」

「思わねぇけど!見つけ出したところで、俺達にできることは何も」

相馬はテンポ良い会話を聞きながら、ここが権力の使い道じゃないかと思った。

槙の悩み?とやらはちゃんと聞いてあげたいが、とりあえず、この問題は権力を活用した方が早い。

相馬はその場でスマホを取りだして、あるところに電話をした。

一言で言えば、【御園の情報機関】である。

「もしもし?」

端的に説明すれば、直ぐに切れる電話。
海外での要人の暗殺なども未然に防ぐ腕前である彼らのことだから、結果が出るのは早いだろう。

「全員見つけ出したら、槙の前に連れてくる。そして、御園の監視下の元、借金は全て返済させるよ」

「え!?」

「国内なら、明日までには。海外なら、明後日かな。そこから監視下の施設に送るから……あ、情けをかけるなら、早めに教えてくれ。ちゃんと言わないと」

「な、情けって……急にどうして」

「ここが、権力の使いどころかなと」

「……」

「あと、槙は友達になってくれるんだろう?友達のためなら、こういうことはしてもいいと教えられている。何より、親の勝手に子どもが犠牲になる現状、俺は大嫌いなんだ」

勝手なことをしたかと思ったが、沙耶は何も言わないし、槙も目を見開くだけで何も言わないので、悪いことでは無いと思いたいが、なんせ、友達というものがいた経験がない相馬は、正解か把握しかねていた。