世界はそれを愛と呼ぶ



「……こんな感じだけど、良いやつだから。あんたみたいな人間は、見た目や生まれでは判断しないでしょ?」

見透かすような目で微笑みかけられて、相馬も微笑み返した。勿論、何も言わない。

そんな相馬の態度に、何故か満足したらしい彼。

「よろしくね、御園くん」

柔らかな笑みを浮かべた彼はまた眠りにつこうとして、それを見逃さなかった沙耶に蹴飛ばされる。

「……すまんな」

それを眺めていると何故か、気まずそうに槙が声をかけてきた。多分、目の前で繰り広げられているものに対しての謝罪だろう。

確かに目の前の光景は衝撃的だが、それ以上に、沙耶が元気そうで何よりだと思っているだけで、特に気にしていないことを伝えると、彼は少し驚いた顔をしたあと、ほっと息をついた。

「……貴方の噂はおおかた聞いている。細かい話は黒宮からの伝達で耳にしているが、貴方は基本、沙耶と行動するだろう」

「うん。そうだね」

「俺は近寄らない方が良いと思うんだが」

「それは、別に君の好きにしてくれていいけど。正直、出番はないと思うよ。俺と沙耶だから」

「貴方の実力はわからないが、沙耶の実力はよく知っている。……ひとつだけ聞きたいことがあるんだが」

「何?」

「貴方と沙耶は恋人なのか?」

「……いいや?」

初めて真っ向から聞かれ、少し戸惑ってしまった。
でも、恋人ではないので、否定しておく。

「婚約者で一緒に暮らしていると聞いたが」

「それは事実だけど、恋人ではないよ」

「事実なのか」

「うん。利害が一致したから、婚約した」

「名家らしいな」

「名家だからね」

「沙耶はなんと?」

「最初は拒絶していたが、最近は素直に受け入れてるよ。黒橋家が、この街が抱える問題のバックには大きな組織が必要で、その為に御園は絶好の餌だ」

「……なるほど」

「それがどうかしたのか?もしかして、沙耶に恋心を抱いているとか?」

尋ねながら、言葉が刺々しくなっていくことを感じる。
沙耶は相馬のものではないのに、こんな態度は失礼だ。

「あ、ああ、いや……沙耶に恋心とかはないから、安心して欲しい。ただ、気になることが……」

「気になる?」

「……俺には、五人の弟妹がいるんだが」

少し悩んだ末に、話してくれるらしい。
怜皇と沙耶は気付けば、真面目な顔で話し合い。
ならばこちらも、と、相馬は近くの椅子を指し示す。