世界はそれを愛と呼ぶ




─そんな会話から、1週間半後。

帰ってきたフィーと暫くの間、穏やかな時間を過ごしていた沙耶の元に、湊さんが帰ってきたらしい。

それに伴って、夜は相馬の家に帰ってきていた沙耶に、黒橋家に戻ることを提案したが、暫くは帰りづらそうだったので、そのままの生活を続行することにした。

「……じゃあ、後で来るのか?」

「うん。麗良さん達はね……そういや、相馬、話したいことがあるって言っていたよね?それを茉白が気にしてて」

「あ、ああ……もう少し待ってもらっても?」

「?、わかった。そう伝えておくね」

陽向さんから報告がない限り、余計なことは言えないと思いつつ、恐らく、慧には連絡がいっているんだろうなぁと、思ったり。

考えることはたくさんだが、ここ数日、ちゃんと過ごした高校生活は意外と新鮮で、面白かった。

今日から、沙耶は登校する。
が、本人は特に緊張もしておらず、ただ、やるべき事を果たすような感じに、相馬は驚きを隠せない。

「嫌とかないのか?」

「うん?何が?学校が?」

「ああ」

「特にないよ。必要性もあまり感じないけど、今はこれしかやることないし、余計なことを考えてしまいそうだし、余計なことして最悪な結末を招きたくないし……何より、今は相馬のそばに居たい。安心する」

極自然に身を寄せてきた彼女の頭を撫で、相馬は彼女の安寧の遠さに目眩がしそうだった。

彼女が悪いわけじゃない。
ただ、余計なものが絡み合って、彼女を雁字搦めにして、彼女をずっと苦しめているのだ。

靴箱に入り、靴を脱ぐ。
すると、すぐ近くのホールが騒がしい。

「─ああ、そっか。今日か」

「?、……あ、テスト結果か」

初登校な沙耶は、自分の靴箱がない。
相馬の横で持ってきた上靴に履き替えた後、同じように騒ぎを聞きつけて、相馬の手を引いた。

見に行くと、ほんの小さな人だかり。

「……これ、全員、張り出されてないよね」

沙耶が小さく呟くので、

「流石に……うん、各学年、上位50人までだな」

「この距離で見えるの?」

「目は良いから」

何なら、はっきりと誰かまで見える。