世界はそれを愛と呼ぶ




「平和に事を収めてほしいが、小栗がいた頃はな〜小栗が両脇に黒橋と松山従えていたし、何より、本人がめちゃくちゃ規格外に強かったから、奴らも逆らえないし」

「後から入学してきた、仁科さん……今は、松山さんですね。彼女も中々に強かったですよね。実力と言うより、メンタルが」

「小栗が気に入るくらいだからな。今も骨抜きだろ」

「フフッ、娘曰く。息子は、黒橋さんを怖がっていますが……沙耶さんと顔を合わせた時、少しはサボり癖が直ってくれると、親としては嬉しいのですが」

「柊先生の息子はあちこちで寝るというか、鈍いというか……とんでもない眠り皇子と呼ばれていますけど、それでいて強いから、ヤンキー集団の天辺にいますよね。だからって、単位が足りなかったら卒業させられませんが」

「勿論です。父親として、許しませんよ。─今日は彼女の様子は見られませんが、お休みですか?」

柊先生に尋ねられて、相馬は頷いた。

「はい。テストの結果が出るくらいには登校すると言ってました」

「夏休み明けの?」

「はい」

「お前ら、受けたの?」

「一応……?」

「全国模試、上位総ナメなのに!?」

鏡宮先生の驚きぶりに、

「全然、下位も存在していることを忘れないで欲しいよ。先生〜」

と、澪が呟く。

「そうですよ。御園三兄弟や薫が規格外なだけで、私は休んでいた分、中の上だし……」

桜も愚痴る。

「俺、勉強嫌いなんだ……」

合わせて、遠い目をする光輝。

「あ、ああ、悪い……それでも、全然問題はねぇだろ」

相馬はそう言われ、彼らの成績を思い出す。

「……まぁ、問題は無いですね」

「だろ?にしても、黒橋も受けるのか……受けなくても、別に良いいんだがな」

「そうなんですか?」

「学校に通わずとも、家で勉強していたはずだからな。何にせよ、あいつが登校してくる頃……成績が全学年、ホールに張り出される頃にはわかるさ」