世界はそれを愛と呼ぶ




─我が校は、自由が校風である。
そう、聞いてはいた。

「ほれ」

差し出されたプリントを手に、相馬達は担任を見た。

「この間ぶりだな〜改めて、一年の学年主任を務める、鏡宮澄晴(カガミヤ スバル)だ。よろしく」

「せんせー、何組担任?」

「ん?1組」

「……俺達1年、皆、1組?」

「おう」

「じゃあ、全員、かがみんのクラスじゃん」

水樹がそう言うと、

「仕方ないだろ〜嫌なのか?」

なんて。

「ううん、全然。かがみん、面白そうで好きだよ。二年と三年は?」

鏡宮先生が振り返ると、現れた長身の男性ふたり。

「─初めまして。柊怜也(ヒイラギ レイヤ)です。三年生は御園相馬くんだけかな。僕は三年の学年主任で、君の担任になるよ。よろしくね」

1人は穏やかな男性で、
「どうも。二年の学年主任、仁坂聖(ニサカ ヒジリ)だ。頼むから、面倒事は起こすなよ〜」

1人は、眼鏡をかけた少しだるそうな人。

「この学校は聞いていると思うけど、選択制だからね。休んだりとかしても、卒業はできるよ。ちゃんと、そのラインを超えていればの話だけど。成績だけじゃないからね。あと、体育は特にこの学校は規格外だと思うから、ちゃんと1度は全部を見学して、選択してね」

柊先生はにこにこと笑いながら、説明をしてくれる。

「焰棠薫くん、瀬戸桜さん、御園相馬くん、御園水樹くん、御園氷月くん、千羽千歳くん、千羽澪さん、有栖宮光輝くん……うん、君達に、あと数人の転入生を合わせたら、完全に過去一で多い転入生数だ。理事長が、ゲラゲラ笑ってたのも納得だね」

「うちの理事長、変わり者だからな……」

「仁科先生からすれば、恩人なのでは?」

「恩人ですが、ずっと変人だとは思っています。そんな理事長の意向もあって、全ての教科、体育に至るまで、あまりにも自由すぎるのですから」

「ゲーム性があった方が楽しいだろ〜と言ってたけど」

「あまりにも適当すぎる……」

すごく呆れている風を見るに、本当にめちゃくちゃな人なんだろう。

「まぁ、健斗さんの友達だし」

……瞬間で、納得してしまいそうになった。
彼の友達なら、なんて。
失礼な話かもしれないが、かなりぶっ飛んでいる人ではあるから……。