世界はそれを愛と呼ぶ




「─おはよう、相馬」

翌日。目が覚めると、沙耶が相馬の枕元に座っていた。

「…………はよ、何してるんだ」

「ん〜?写真の整理?」

「写真?」

「うん。本当なら、早めに死ぬ予定だったからさ〜私が保管してる分の写真は全部、燃やしちゃったんだよね。間違いなく、湊あたりが原本持ってるけど、それとは別に」

沙耶はそう言いながら、写真を見せてくる。

「……いっぱい、自分で撮ろうかなって」

その写真は恐らく、この間のお出掛けで撮ったやつなのだろう。楽しそうに笑う幼なじみや、沙耶、茉白が写っていていた。

「この茉白の写真はね、慧さんとハルに人気だったよ」

「……だろうな」

ふたりは、茉白の恋人と兄だ。
大切な人が、ずっと傷付くばかりだった人が、やっと幸せを素直に享受するようになった喜びはひとしおだろう。

「茉白との約束、午後だもんね。午前中はどうしようかなぁ……」

「なにかしたいことでもあるのか?」

「ん〜……あ、相馬の誕生日知りたいかも」

「また、なんだ突然」

脈略のない言葉に薄笑うと、

「次の相馬の誕生日を目標に、料理頑張ろうかと」

と、胸の前でガッツポーズ作る沙耶。

その仕草がただ可愛くて、出会った時に比べたら、かなり天真爛漫、コロコロと表情を変えるようになったなぁ、なんて。

「─5月8日」

「え?」

「誕生日」

「ふむ、5月8日ね。覚えておく」

別に覚えなくても……という言葉は、胸の中へ。

「柚香と真姫と桜と……」

写真を眺め、ニコニコする沙耶。
高校生活が少し楽しみだと言う彼女は、昨夜の話の影響か、少し無理をしているように見えた。

「……無理、するなよ」

傷ついて欲しくない。身と引き換えにしても、守りたい。
既に沙耶の頭を撫でることが癖になっている相馬は、そう言いながらまた、沙耶の頭を撫で回す。

沙耶は擽ったそうに笑いながら、

「無理なんてしてないよ?私が相馬にしてあげられることって何かなーって思ってるだけ!」

そう言って、両手を広げて。

「今日着てる服はね、相馬が買ってくれたやつだよ」

動きやすさ重視の沙耶のために、桜達が選んだ服。
色んなコーデが送られてきて、幼なじみだからか、相馬の好みもきちんと押さえられた多くの写真は今も、相馬の写真アプリの中に入ったまま。

(確か、桜が送ってきた中で『相馬は、これが一番好きでしょ笑』と送られてきたやつ……)

思わず、じーっと凝視してしまう。
すると、沙耶は恥ずかしそうに俯いて。

「見すぎ」

と、目元を隠されてしまった。

その仕草ですら可愛いと思うから、もう無理かもしれない。……ちょっと、ストッパーが馬鹿になってるかも。