世界はそれを愛と呼ぶ




「流石に薄まりすぎると、発動しない。【運命の番】など、そう簡単に見つからない。唯一無二など、運命に定められた相手など……そんなもの、相手の人生を丸ごと否定する可能性があるのに、現代では難しい」

好きになった人が【運命の番】である可能性は、とてつもなく低いらしい。
でも、そもそもの話、御園は大きくなりすぎて、人に感心があまりない人間が多いという。
そのため、大抵は惹かれる相手が【運命の番】という。

「あ、じゃあ」

「伯父ふたりは、妻が【運命の番】だよ。それを自覚するのはかなり後だったけど、庇護欲が掻き立てられるらしい。守らなければならない、と、血がそうさせるのか……否、どうしようもなく守りたくて、愛おしく感じてしまうのは呪いかもしれないけど、自分の心が確かに感じている気持ちであることを否定はしたくないな、と、伯父と話したことがあるよ」

「へぇ……すごいね。【血の盟約】」

「でも【運命の番】であっても、愛し合えるとは限らない。この場合の【運命の番】というのは、後付けに過ぎない。あくまで、バケモノの子を安全に産めるか否か」

「……」

相馬は「夢を壊してごめんな」と何故か言いながら、沙耶の頭を撫でた。
いつの間にか立場逆になってて、少し悔しい気もするが、何となく、相馬が震えているような気がしたので、沙耶は身を任せることにした。

すると、気のせいかもしれないが、相馬の腕に力が籠った。

「鬼の子の成長スピードは早く、普通の人ならば、その胎を食い破られる可能性がある。それは直系に近ければ、近いほど─……だから、運命以外との間に子を成してはならないという盟約があるんだ」

「運命は耐えられるの?」

「運命は耐えられる。そこに愛があろうとなかろうと、行為は存在する。その行為で、妻はその熱を溜め込む。エネルギーとして。そして、その熱が循環し、早熟な子がそれを支え、莫大なエネルギーとなって、それは全て子に宿り、産まれてくる」

話が非現実的で何となくでしかついていけていなかったが、今の話だと─……。

「じゃあ、愛されていれば愛されているほど、能力が強い子が生まれるってことだ」

沙耶がそう言うと、相馬は優しく微笑んだ。