世界はそれを愛と呼ぶ




「─私、相馬に出会えて良かった。あなたのおかげで、皆とまた笑って話せるようになった。幸せなの。どうすれば良いのか、貴方が教えてくれたから。だからね」

コツン、と、額を合わせる。
呼吸が届く距離。何故か、安心するあなたのそば。

「相馬が何をするつもりかは分からないし、何を考えて、何に悩んでいるのかは、私には分からないけど、いつだってぎゅってすることはできるよ。相馬がそうしてくれたように。……安心、するでしょう?」

そう言って、もう一度、抱きついてみた。
こんなこと、婚約者の立場だから出来ることだ。
自分から異性に触れたことなんてないし、結婚だって、あの手紙で嫌厭していた。

自分の幸せなんて、考えたこともなかったんだ。

「……そう、だな……」

相馬はずっと黙っていた。でも、沙耶がギュッと抱き締めると、ようやく、口を開いてくれた。

そして恐る恐る、沙耶の背中に手を回す。
沙耶は腕に力を込めて、ぎゅーっと抱き締めてみた。

「…………御園には、大きな秘密がある」

耳元で、小さく呟かれた言葉。

「太古、皇家が生まれるよりも前に存在したとされる、とある一族の血を引いている」

相馬は話しながら、沙耶の事を抱き上げて、何故か、自分の太腿の上に横向きで座らせられた。
幼子みたいで変な感じがしたけど、太腿の上に座って、相馬の胸板に身を任せると、それを片手で支えてくれて。

ぐっと引き寄せられて、今度は相馬が力強く抱き締めてくれて、何となく、心臓が痛い気がした。

体勢はちょっと辛かったけど、肩口に顔を埋めるように抱き締めて、ぽつぽつと話してくれる相馬に、この一週間で何があったのか、気になって仕方がなくて。

上手い言葉もかけられない沙耶は抱き締められながら、彼の言葉に耳を傾けることしか出来なかった。