世界はそれを愛と呼ぶ




「……御園の血に、適合出来たもの」

相馬がそう言うと、

「へぇ?」と、水樹が目を細め。
「そう」と、氷月がため息を漏らした。

「なら、早急に対応しなくちゃ。ね、氷月」

「そうだね、水樹。とりあえず、どうしようか?」

─このふたりも、『御園』の人間である。
御園の血の危険性をよく知っているからこそ、腹の底で怒っている。

「人体実験が行われていたことに関しては、正直、俺達の出る幕じゃないと思ったんだ。だから、兄さんに従うつもりだった。でも、御園が関係しているなら、兄さんが望まぬことでも、俺達が手を染めるよ」

「水樹、それは」

「兄さんにだけ、手は染めさせない」

……嗚呼、この目はよく知っている。
あの日、母親であった人が死んだ日。
相馬の、誕生日だった日。

世界が壊れていく相馬の視界に映っていたのは、涙ひとつ流さない双子の姿。

「俺は」

相馬には、責任がある。
本当に血が利用されているならば、その血が出ていくことを、止められなかった責任が。

例え、人体実験が昔の話だったとしても。
相馬が産まれる前から続いていたものだったとしても。
相馬には、責任があるのだ。
─相馬は、“王”として生まれてしまったのだから。

「相馬」

どうすれば良いか考えていると、叶夢に肩を叩かれた。
見ると、叶夢は。

「お前はよく自分のせいでと言っていたが、こいつらはそれに怒っていることを自覚しろよ。─俺からすれば、お前も沙耶もあまり変わらん。自責思考で、放っておくと、すぐ拗らせる。この運命に生まれたのは決して、お前のせいじゃない。双子はお前をひとりにしない為、産まれてきたのだと考えてみろ」

共に背負うと、常に言ってくれる双子。
大きな家。歴史が長い家。呪われた家。

「…………はぁ」

相馬はため息を零した。
1周回って、落ち着いてきた脳内。

この街で起こっていたこと。
人体実験の歴史、廃墟の地下で今なおも行われていること、扉の向こうの繋がり、沙耶の因縁、その全てが繋がっていないなんて、考え難い。