世界はそれを愛と呼ぶ




「叶夢」

「なんだ」

「お前は手を出すな。─彼女の問題も、御園の問題も」

「え」

「─どうやらこれは、『御園』の問題らしい」

相馬は、陽向さんへ電話をかけることにした。
気分を落ち着ける為、養父の声を聞きたかった。

『相馬?』

数コールですぐに出てくれた養父は、相馬の珍しい行動に驚きつつも、話を聞いてくれた。

慧に婚約者ができたこと、それをたまたま聞いた叶夢が気にしていた適合者に当てはまるのが、慧の婚約者であること、そして、未解決事件に嫌な予感がしたと同時に、当人である彼女から来た、タイミングが良すぎる電話。

『……十中八九、分家が関わっているだろうな』

深いため息の後、そう呟いた陽向さん。

『相馬、お前はどうするつもりだ』

「潰します」

『や、うん……それは同意だけど』

「こちらで生活している間、犠牲が出ないように手を回しつつ、情報を集めます。そこで聞きたくて」

『何をだ?』

「御園の血を入れられた人間は、二度と元には戻れませんか」

『いや、まあ、血を入れ替えれば問題は無いだろうけど……それに適合した身体が、どんな反応を起こすかは分からない。だから、あまりオススメはしないな』

「中途半端に、俺達の血を持つのは苦痛では」

『そうだとしても、入れ替えれば、それだけの負担が襲い掛かるだろう。ならば、敢えてそのままが』

「ですが、短命になります」

『……』

「短命じゃっ、ダメなんです」

幸せになって欲しい。幸せになりたいと、願われた。
ならば、当主として責任を取らなければならない。

『……慧の婚約者のことか』

慧は相馬たちと同じ、人より長く生きる。
それはその血筋に、御園と神宮寺の血筋を持つから。

神宮寺は神職であるゆえ、長い。
でも、慧はそれよりも長く生きることになるだろう。
御園と違い、最愛を亡くして死を迎えられる訳でもない、中途半端な立場な慧をひとりにさせたくない。

御園には、御園家の研究施設がある。
その研究施設では様々な条件付きで、実験に協力する人々がいて、その過程で適合者が50まで生きられないというデータは、数代前の当主の時に明らかになっているのだ。