「·····弟が来た時、聞いてたんだね?」 私が頷くと、シオンさんは私の頭を撫でながら、話してくれた。 「俺は親の決めた人とは結婚しないよ。ずっと断り続けてたんだ。それに、会社のために結婚なんて馬鹿げてる。俺は、結婚するなら·····」 シオンさんは私を見つめる。その目は、本当に愛おしそうにしていて·····。 「リイナちゃんと結婚したいんだ」 そう、答えてくれたのだった──。