シオンさんの表情が変わった。目が見開き、それから恍惚とした顔になっていく。
「いいの……?」
私が頷くと、私はシオンさんにソファで押し倒された。
「……けっこう、我慢してたんだ」
そう言われたけれど、それを、私は既に知っていた。
彼は私が寝ている部屋に、毎夜静かに現れた。ずっと寝たフリをしていた。起きてしまったら、シオンさんは気まずい思いをするんじゃないかと思って。
だってシオンさんは、私が寝ていると思って、なかなか起きない子だと思って、首筋を触ったり、足を優しく撫でたりしてたから。だけど私は、いつ彼に奪われてもいいと考えていた。強引でもかまわない。シオンさんに助けられ、ずっと彼の家に居て、彼の優しさや、ふとした時の笑顔や、一緒にいる時の安心感、幸福さえ感じていた。
ここから出ないで欲しいと言われた時は、驚いたけれど、でも私はそれでよかった。彼からもらった愛情が身に染みて、次に彼からの欲情までも欲しくなっていた。鳥にだってなりたいと思った。いくらめちゃくちゃにされても、今の私なら、かまわない。



