最初は、何もなかった。ただ同居してるだけの生活が続いた。やらなくていいと言われたけど、何もしてないのが嫌で、料理と家事をやっていた。欲しいものは普段着るための洋服や下着くらいで、それ以上の物は望まなかった。泊まり込みの家政婦みたいになっていて、だけど、シオンさんは私の料理を大好きになってくれて……。それから私にプレゼントをたくさん贈るようになって、シオンさん好みの服装をするようになると、ますます喜んで……。
友達以上、恋人未満のような関係になった時、シオンさんは話してくれた。
「うちの家って、代々当主が、お嫁さんを籠の鳥にするんだよ。可愛がって、あまり人の前に出さなくなるんだ。俺はそうはならないって思っていたんだけど、結局、籠の鳥になってくれる女性を探すようになってさ。血筋なんだって諦めて探したけど、本当に籠の鳥になってくれる女性なんてなかなかいない。リイナちゃんも、こんな生活から逃げ出すんだろうなって、最初思ってた。でも、君は、本当に居てくれるから……」
少し赤らんだ、彼の頬が愛しくなっていた。だから私は、
「私、鳥になってもいいかも」
そう答えてしまったのだ。



