気まずい沈黙。体感10分。
「まずは、必要なものを確認しましょうかっ」
レオラディア殿も声が上擦っているし、不安げに耳が左右に動いている。大きくため息。
「あ、あの?」
大きく息を吸って。吐いて。もう一度大きく吸う。
「あの馬鹿!どうせ一番面倒な仕事を押し付けただけだろうが!共同作業というのなら先にテーマ決め、当日の日程表制作、式に呼ぶ客のリスト制作等々あるというのに!そもそも普段スケジュール管理の徹底しているお前が今日に限ってミスをするわけがないだろう!」
一息で言うと、息が切れてしまった。まさか仕事を押し付けられるとは。しかも彼女とはまだ知り合って一週間も経っていない。気まずさが残る相手と気兼ねなく買い物を楽しめるわけがない。
「まずはテーマ決めでしたね」
「あ、ああ」
予想外に落ち着いている彼女に驚いた。
「よく、肝が据わっているって言われるんです」
彼女はそう言うと笑った。
「あんたがた、次の結婚祭の主役かい?」
ふと、誰かが声をかけてきた。